2019 Fiscal Year Research-status Report
α化米粉を乳化剤として活用した新規栄養強化粥とアレルギー対応食品の開発
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18K02207
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
山岸 あづみ 新潟県立大学, 人間生活学部, 講師 (00400531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 朝子 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (60240991)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | α化米粉 / 粳米 / 高アミロース米 / 粥 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は米粉を小麦粉の代替品として活用するのではなく、乳化剤等を含めて新たな利用方法や摂取法を見出すことを目的としている。今年度は粳米および高アミロース米を用いて、加水・炊飯工程を行わない加熱せん断法で作成されたα化米粉および、炊飯工程を経たご飯およびお粥を凍結乾燥させて作成したα化米粉で粥ペーストを調製し、各ka粥ペーストのテクスチャー(かたさ・凝集性・付着性)を検証した。検証方法は各種α化米粉を水中で撹拌して作成したペースト粥(3・5・7・全粥)で行った。また、コントロールとして米を用いて粥を調製した後、ミキサーでペースト状にしたペースト粥を用いた。さらに、米粉の表面の性状を電子顕微鏡で確認した。 本実験の結果、粳米のα化米粉は、加熱せん断法で作成したα米粉に比べて炊飯、特に、お粥を凍結乾燥して作成したα化米粉の粥ペーストは、かたさや付着性が高かった。これは、お粥の作成時に米からでんぷんが流出し、流出したでんぷんが米粉のまわりに付着した影響が考えられた。一方、高アミロース米で作成したα化米粉では粳米とは異なる傾向であった。炊飯で作成したα化米粉の粥ペーストに比べ、加熱せん断法で作成した米粉の粥ペーストのほうがかたさや付着性は高くなる傾向であった。この要因として、加熱せん断法による粉表面の損傷が影響していることが考えられた。電子顕微鏡写真で粉の表面を確認した結果、加熱せん断法で作成した米粉は炊飯で作成した米粉に比べ、表面の凸凹が多かった。すなわち、加熱せん断法により表面が損傷することで保水力が高まり、炊飯によって作成したα化米粉の粥ペーストに比べてとろみがついたことが推察された。 本実験結果から、粳米および高アミロースを用いて均一な粥ペーストを作成するための適したα化米粉作成法や必要な水分量を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
粥の物性測定(n=5)を行うためには、一定量の各種米粉が必要となる。しかし、凍結乾燥機の一回の使用量に限界があるため、一度にできる量が少なく、実験を行うために必要なα化米粉を作成するのに時間を要した。そのため、初年度より計画していた作成したα化米粉の糊化度・でんぷん損傷度に関する分析実験を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度は最終年度であることから、今年度実施できなかったα化米粉の糊化度、でんぷん損傷度、レジスタントスターチ量など各種米粉の特性を分析し、今年度実施した物性との関連性について検証を行う予定である。また、今年度実施した各種α化米粉のテクスチャーの結果を踏まえて、各種α化米粉を用いた非加熱調理への利用性について検証を行う。作成した調理加工品については、官能検査を実施することで作成条件のブラッシュアップを図る。
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Causes of Carryover |
今年度実施する予定であったα化米粉の糊化度、でんぷん損傷度、レジスタントスターチ量などの分析を実施することができなかったため、これらの分析に必要なガラス機器、消耗品を購入しなかったことが影響している。来年度はこれらの分析に必要な機器や試薬を購入して分析を実施する予定である。
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