2020 Fiscal Year Research-status Report
α化米粉を乳化剤として活用した新規栄養強化粥とアレルギー対応食品の開発
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18K02207
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
山岸 あづみ 新潟県立大学, 人間生活学部, 講師 (00400531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 朝子 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (60240991)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | α化米粉 / マヨネーズ風調味料 / 物性 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はα化米粉を利用したマヨネーズ風調味料に適したα化米粉の選別と作成条件を検討した。試料は市販されている炊飯して作成されたα化米粉と加熱・せん断粉砕法で作成されたα化米粉を用いた。マヨネーズ風調味料に関して、実験1ではマヨネーズ作成に必要な酢、油、コントロールとして水を用いてα化米粉サスペンションを作成し、安定性について経時的に確認した。実験2では水、酢、油、米粉、食塩の配合割合を変え、電動ミキサーを用いて5種類のマヨネーズ風調味料を作成し、物性、乳化安定性の測定、油滴の観察を行い、市販のマヨネーズに近いマヨネーズ風調味料を作成するための各調味料の配合を検討した。 実験1の結果から、安定性は酢で作成した炊飯のα化米粉サスペンションは,加熱・せん断のα化米粉サスペンションに比べて、測定開始直後から短時間の経時的変化において、有意に沈殿物が多く安定性が低くかった。このような傾向は、水でも確認できた。これらの結果から、加熱・せん断粉砕のα化米粉のほうが安定性は高い可能性が示唆された。 実験2では電動ミキサーを用いて同じ撹拌速度、時間でマヨネーズ風調味料を作成したが、炊飯で作成したα化米粉は油が分離してクリーム状にならなかった。すなわち、マヨネーズ風調味料作成には加熱・せん断粉砕法のα化米粉が適していることが確認できた。加熱・せん断粉砕法のα化米粉を用いて5種類のマヨネーズ風調味料を作成し、市販のマヨネーズとの類似性を比較検討した。その結果、市販のマヨネーズと類似した物性を有する、α化米粉を基盤とした各調味料の配合割合を確認することができた。 一方、乳化安定性は市販のマヨネーズに比べて、α化米粉のマヨネーズ風調味料は分離率が有意に高くなった。今後は官能検査を実施して、見た目、美味しさの評価も行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は新型コロナウイルス感染拡大により実験を行う時間を充分確保することができなかった。そのため、当初予定していた粉の性質(α化度や糊化度)の実験を行えなかった。また、作成したマヨネーズ風調味料の官能検査は、新型コロナウイルスの感染リスクを避けるために中止した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はマヨネーズ風調味料を完成させるために、旨味成分、色素を添加して市販のマヨネーズと物性(粘度、付着性、凝集性)、外観、味についても比較検討を行う予定である。本実験によりα化米粉の新たな活用法として、アレルゲンを使用しないマヨネーズ風調味料を完成させる。 α化米粉を活用したマヨネーズ風調味料を完成させるためにはおいしさの評価も重要である。したがって、新型コロナウイルスおよび、その他の衛生管理も行って官能検査の実施も試みる。また、令和元年度、2年度で作成および使用したα化米粉の性質についても分析を行い、各α化米粉の性質と各α化米粉で作成したペーストの物性や親油性との関連性ついて検証する。さらに、マヨネーズと同様に油が多く含まれる生クリーム(ホイップクリーム)への加熱・せん断粉砕法で作成したα化米粉の活用についても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は新型コロナウイルス感染拡大により、実験を実施することが難しい状況であった。そのため、当初予定していたα化米粉の分析を行うことができなかったことから、次年度への繰り越し金が派生した。 今年度は、昨年度実施できなかったα化米粉の性質に関する分析を行う。そのために必要な試薬、ガラス器具および消耗品を購入する予定である。また、α化米粉の電子顕微鏡写真は外部委託するため、そのための料金が必要となる。これらの結果を得ることで、令和元年度および2年度に得られたα化米粉粥やマヨネーズ風調味料の物性と各種α化米粉の性質との関連性について検証を行う。 さらに、昨年度中止した官能検査も安全性に配慮して実施する予定である。官能検査では感染防止のため使用する食器は全て使い捨ての紙製品とし、実施する部屋にはアルコールを設置して実施するため、これらの購入も行う。
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