Effect of peel oil in citrus fruits from Kumamoto prefecture and their products on phychorogical stress reduction

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K02209
• Research Institution: Prefectural University of Kumamoto
• Principal Investigator: 白土 英樹 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (40275459)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: ストレス低減 / カンキツ / 精油

Outline of Annual Research Achievements

本年度は熊本県産晩柑および甘夏精油を用い、それらのストレス低減効果（ストレス抑制作用あるいはストレス緩和作用について検討した。15分間の安静状態を保った後、安静時のデータとして、質問紙（VAS、POMS2短縮版）への回答を行った。その後、５分程度の安静を保ち、ストレス抑制作用検証区では精油提示の後にストレス付与を、ストレス緩和作用検証区ではストレス付与の後に精油提示を行った。終了後ストレス付与あるいは精油提示後のデータとして再度質問紙への回答を経時的に行った。一方、対照としてのコントロール区では精油提示を行わずストレス付与のみで同様の実験を行った。なお、精油提示はろ紙に精油を１滴滴下し、そのにおいを嗅ぐことによって行った。なお、精神的ストレスの付与には内田クレペリン精神検査を用いた。
VASスコアにおいてコントロール区では５分後まで有意な減少が認められたのに対し、晩柑のストレス抑制作用区においてはストレス付与直後のみ有意な減少が認められた。また、ストレス緩和作用区では精油提示直後にスコアの有意な増加が認められた。甘夏のストレス抑制作用区においてはコントロール区同様に５分後までスコアの有意な減少が認められたが、その後のスコアの増加が認められた。さらに、晩柑と甘夏のいずれもコントロール区に比べてスコアが有意に高かった。POMS2においては晩柑のストレス抑制作用区では「抑うつ-落ち込み」、「疲労-無気力」、「緊張-不安」、「友好」でそれぞれ安静後に対してスコアの有意な減少が見られた。甘夏のストレス抑制作用区では「緊張-不安」のみ安静後に対して有意なスコアの減少が認められた。また、晩柑、甘夏いずれもストレス緩和作用区の方がストレス抑制作用区に比べてスコアが低かった。以上の結果から、晩柑、甘夏いずれもストレス低減効果を有し、ストレス緩和作用が特に大きいことが明らかとなった。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成30年度は熊本県産の不知火、晩白柚、パール柑、スイートスプリング、甘夏、晩柑、キンカン、ネーブル、ハッサクの精油を用い、VAS、POMSに加えて血圧、唾液クロモグラニン濃度を指標としてストレス低減効果を検証する予定であった。しかし、甘夏、晩柑以外のカンキツはいずれも晩秋から初冬にかけてが収穫期であり、精油を得たものの、ストレス低減効果を検証するには至らなかった。
また、当初の予定では血圧を指標とする計画であったが、文献調査や学内の生理学を専門とする研究者と情報交換を行った結果、血圧よりも心拍変動を指標とした方が良いと考え、必要な機器の検討が必要であった。以上の理由により当初の予定よりも進捗が遅れている。

Strategy for Future Research Activity

平成30年度に引き続き、精油のストレス抑制作用あるいはストレス緩和効果について検討する。すなわち、熊本県産不知火、晩白柚、パール柑、スイートスプリング、キンカン、ネーブル、ハッサクについて精油のストレス低減効果をVASおよびPOMS2を用いて検証するとともに、平成30年度に行った晩柑、甘夏精油も含め、精油提示前後の唾液クロモグラニン濃度ならびに心拍変動の測定を行い、自律神経活動の変化についても検討する。
また、ストレス低減効果が明らかになった精油を果汁に添加したものを被験者に摂取させ、果汁飲料としてのストレス低減効果を検討する。
さらに、精油をガスクロマトグラフ－質量分析し、揮発性成分の同定・定量を行うとともに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーあるいはシリカゲル薄層クロマトグラフィーによって分画したものについてストレス低減効果を検証し、寄与成分を絞り込む。

Causes of Carryover

平成30年度は熊本県産の不知火、晩白柚、パール柑、スイートスプリング、晩柑、甘夏、キンカン、ネーブル、ハッサクの精油を用い、VAS、POMSに加えて血圧、唾液クロモグラニン濃度を指標としてストレス低減効果を検証する予定であった。しかし、甘夏、晩柑以外のカンキツはいずれも晩秋から初冬にかけてが収穫期であり、精油を得たものの、ストレス低減効果を検証するには至らなかった。また、当初の予定では血圧を指標とする計画であったが、文献調査や学内の生理学を専門とする研究者と情報交換を行った結果、血圧よりも心拍変動を指標とした方が良いと考え、必要な機器の検討が必要であった。以上の理由により当初の予定よりも研究の進捗が遅れ、次年度使用額が生じた。
平成31年度は晩柑、甘夏以外の精油を用いてストレス低減効果をVASおよびPOMS2を用いて検証するとともに、平成30年度に行った晩柑、甘夏精油も含め、精油提示前後の唾液クロモグラニン濃度ならびに心拍変動の測定を行い、自律神経活動の変化についても検討する。また、ストレス低減効果が明らかになった精油を果汁に添加したものを被験者に摂取させ、果汁飲料としてのストレス低減効果を検討する。