2019 Fiscal Year Research-status Report
不凍タンパク質を利用した生鮮野菜類の新規冷凍保存法の開発
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18K02213
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
安藤 真美 大阪樟蔭女子大学, 健康栄養学部, 教授 (50234183)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 不凍たんぱく質 / 野菜 / 冷凍 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の結果をもとに、引き続き氷結晶の成長を抑制する不凍タンパク質(Antifreeze protein:AFP)を利用し、生鮮野菜類の新しい凍結保存方法の開発をめざす事を目的とした。 今年度は前年度用いなかった野菜数種について検討を行ったところ、一部の野菜において不凍タンパク質(AFP)を用いた場合、蒸留水を用いた場合よりも重量残存率および色差において有意性が認められた。その傾向は浸漬時間が長いほど顕著だった。しかし、不凍タンパク質(AFP)の使用濃度とは比例関係は認められなかった。 また、SEM観察の結果から、不凍タンパク質(AFP)を用いた場合、細胞の形状が保持されており、氷結晶による細胞のダメージが抑えられていた。これは、不凍タンパク質(AFP)が氷結晶に結合し、粗大化が抑えられためと考えられた。細胞のダメージが少ないことは、水分やうまみ、栄養素の流出が少なくなることにつながるため、有効な結果と考えられた。 さらに、市販の不凍タンパク質(AFP)は分子量が6700~32000であるため、野菜の細胞壁を通過して内部への浸透させるのは難しいと考えられる。したがって不凍タンパク質(AFP)にプロテアーゼを作用させて低分子化し、浸透しやすい状態にしてからその浸透や耐凍性の程度を評価した。プロテアーゼの使用濃度および反応条件を検討した結果、ある程度低分子化した場合に不凍タンパク質(AFP)の有意性がうかがわれた。しかい低分子化が進みすぎると耐凍性が下がる傾向があり、今後さらにプロテアーゼ濃度および反応速度の詳細なコントロールが重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
不凍たんぱく質の効果はある程度得られてきたが、限られた条件においてのみである。普遍性および効果の原理の追究に関しては不確定である。
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Strategy for Future Research Activity |
不凍たんぱく質による効果の普遍性および原理に関して検討予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の実験においては、既存の実験機器及び試薬類で賄えたため、実質支出が生じなかった。 翌年度は現時点で得られている現象面の原理の追究を実施する予定であるため、今年度分と合わせて有効利用する予定である。
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