2020 Fiscal Year Research-status Report
調理作業の心理的効果―食育におけるアクティブラーニングの検討―
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18K02215
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
板東 絹恵 四国大学, 生活科学部, 教授 (70208726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北畑 香菜子 四国大学, 生活科学部, 助教 (60761682)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 調理実習 / 食育 / アクティブラーニング / 心理状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】グループで行う調理実習は、対象者や状況、目的の違いにより汎用的能力の育成を図るための食育と捉えることができる。本研究では、調理実習が心理的側面に与える影響を客観的、主観的指標で調べ、食育におけるアプローチ法としてのアクティブラーニングについて検討した。 【方法】大学生34名(男子8名、女子26名、20.7±1.0歳)を対象とし、栄養系と栄養系以外の学科で、各々3~4人のグループを作り調理実習を行った。心拍データから実習前・中・後の交感神経活動度(LF/HF)を、実習前・後に唾液αアミラーゼ活性(アミラーゼ)を測定し、気分評価はPOMS、パーソナリティの特性はBig Fiveの各質問紙と、同時にアンケートも実施した。分析の有意水準は5%未満とした。 【結果と考察】全体でLF/HFは実習前後の有意差はなく、栄養系で3.61→4.31→4.04、栄養系以外で3.81→3.75→3.48と推移した。アミラーゼは実習後有意に上昇し(t=2.56)、POMSは実習後有意に低下した(t=3.74)。次に「性別、開放性、誠実性、調和性、調理作業の好き嫌い」を独立変数に、実習中のLF/HFを従属変数に重回帰分析を行った結果、栄養系で「性別、誠実性、調理作業が好き嫌い」が正の影響を(t=2.89,2.43,2.76)、「調和性」が負の影響を及ぼした(t=4.85)。調理実習による交感神経の高まりは栄養系の学生にみられたが、そこに及ぼす要因については更に今後、自由記述による質的分析も踏まえ検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の実験準備、実施は、2020年1月から2月中旬にかけて実施した。その後、コロナ禍に突入し、新型コロナ感染防止、蔓延防止の徹底が生じたため、三密を避ける必要性から、グループでの調理実習ができなくなった。そのため、データの集積には限界が生じたが、これまでに積み上げたデータと、今回実施できたデータを合わせ分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が本助成を受ける最終年度となる。ヒトを対象とし、三密が避けられないグループでの調理実習実施は、現状況では困難と考えている。そのため、今後はこれまでに集積したデータの分析から、テーマに基づくまとめと論文作成に従事したいと考えている。
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Causes of Carryover |
【理由】新型コロナの影響で、予定していた学会発表はWeb開催や誌上開催に変更された。そのため、学会出席のための旅費を必要としなかった。 【使用計画】次年度は本研究のまとめ段階に入るため、学会発表や論文投稿の費用、さらにデータ分析、整理、保管に必要な消耗品購入に充てたいと考えている。
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Research Products
(1 results)