2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of omni-directional elastic modulus evaluation system using lamb wave for fabric
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18K02218
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤坂 修一 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (00501066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛腸 ヒロミ 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (80114916)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラム波 / 弾性率 / 織物 / 力学物性 / 直交異方性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、経糸(縦糸)と緯糸(横糸)を織り合わせた直交異方性材料である織物について、ラム波を用いて力学特性を算出する装置を組み立て、非破壊・微小ひずみでの弾性率の異方性を評価することを目的としている。ラム波は、平板中を伝搬する弾性波(ガイド波)の一種であり、変形が対称なSモードと反対称なAモードがあり、それぞれに基本モードと高次モードがある。各伝搬速度が、材料の力学物性(引張・せん断弾性率、ポアソン比)や密度に依存するため、任意のモードの伝搬速度を計測することにより、力学物性が得られる。 これまでに、音波入射によりラム波を励起し、一定間隔でサンプルの面外振動を計測するシステムを構築した。また、入射信号をホワイトノイズからスイープサイン波に変更し、測定タイミングを同期させることで、20kHzまでの多くの周波数でラム波を検出することが可能となり、解析精度を向上することができた。 本年度は、より解析精度を向上させるため、超音波による励振をし、測定周波数を100kHzまで拡張させた。サンプルとして、綿ブロードを用いて、音波・超音波による測定を行った。緯糸(0度)、経糸(90度)、45度方向のラム波(A0モード)の伝搬速度の周波数依存性を計測後、解析を行い、直交異方性材料の弾性係数の9つの独立成分を得ることができた。既存の測定法である、動的粘弾性測定(DMA)で測定可能な、緯糸、経糸方向の弾性率は、本測定から得られた値と同等であった。また、得られた弾性マトリックスを用いて、緯糸から15度間隔のA0モードの伝搬速度の周波数依存性は、実測値とよく一致した。これらより、本測定法が妥当であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1、2年度(2018, 2019年度)において、音波を加振源とした自動計測システムの構築、弾性率の解析手法の確立を行った。最終年度となる2020年度は、当初の計画では「既存の評価装置との比較」、「専用治具による張力の影響の検討」を行う予定であったが、Covid-19の影響で、外部機関での測定、専用治具の作成が困難であったため、研究期間を一年延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2020年度は、「既存の評価装置との比較」、「専用治具による張力の影響の検討」を行う予定であったが、Covid-19の影響で、外部機関での測定、専用治具の作成が困難であったため、研究期間を一年延長した。 「既存の評価装置との比較」については、これまで、本測定により得られた弾性率が妥当性について、研究室で保有する動的粘弾性測定装置を用いて、経糸、緯糸方向の引張弾性率を測定し、検討してきたが、それ以外の方向は測定できないため、検討できていない。複数の試験布について、外部機関による既存の評価装置(二軸引張試験機、KESなど)での測定結果と比較を行い、本測定システムの妥当性、また測定法による違いについて検討する。「張力の影響」については、現在、測定サンプルは、金属枠に固定しているが、織物の場合、張力により経糸、緯糸の角度が変化し、弾性率が変化する可能性がある。そこで、専用治具により張力をコントロールし、張力が変化したときの構造、弾性率の変化について検討する。 上記の検討について、サンプル種を増やして、織物の構造と力学物性の関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
昨年度は、Covid-19の影響で、予定していた「既存の評価装置での計測」、「張力をコントロールするための専用治具の作成」が実施できなかった。また、昨年の前半は、学会行事の開催が中止されていて、研究成果の発表機会がなかった。 本年度は、外部機関での計測、サンプル治具の作成を予定している。外部機関での計測については、より多くのサンプルで計測可能となれば、精度の良い検討が可能となる。また、現在、各学会行事はオンライン形式で開催されており、研究成果を積極的に発表する予定であり、参加費として使用する。
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