2018 Fiscal Year Research-status Report
健康的な食環境整備に向けた食関連企業とのパートナーシップ構築に関する研究
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18K02219
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
赤松 利恵 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50376985)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食環境 / 健康 / 食関連企業 / 食事 / 栄養成分表示 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度はアカウンタビリティに関する研究を中心に,食環境に係る次の3つの研究を行った。 1.食関連企業における国が進める健康施策の実施状況:本研究では,Swinburnらが提唱するアカウンタビリティフレームワークのSTEP1である「食関連企業が国の施策を理解し,企業としてできる目標を取入れている」に焦点をあて検討した。食関連企業を対象に,半構造化インタビュー法を行い,ホームページ等を通じた情報提供の実態から,各企業が国の進める健康施策に関わっているかを調べた。 2.外食における「健康な食事」の提供の実態:食関連企業において,食事レベルで食を提供できるのは外食企業のみであり,これは強みでもある。しかし,国が推進する「主食・主菜・副菜のバランスのとれた食事」や食事摂取基準に沿った食事が提供されているかは,未知である。そこで,外食で提供されているメニューの実態および作成要因,そして食関連企業が考える「健康な食事」の提供や普及の障害について,フィールドおよびインタビュー調査によって検討した。 3.栄養成分表示の利用に関する研究:2015年4月に「食品表示法」が施行され, 原則として,加工食品に,栄養成分表示が義務化された(移行経過措置期間5年間,2020年3月まで)。栄養成分表示は,目に見えない栄養を可視化することで,消費者の食品選択に役立てることを目的としている。栄養成分表示義務化は,食環境整備の前進に大きく寄与する取組である。しかし,消費者がこれを利用できなければ,意味がない。そこで,本研究では,栄養成分表示の利用について,成人を対象に行った調査のデータを活用し,栄養成分表示の利用状況を検討するとともに,食関連企業の栄養成分表示に対する取組の現状をインタビュー調査から検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に計画した内容は,昨年度ほぼ実施できた。昨年度行った研究は,次の7つの研究となる。1) 食関連企業は国が進める健康・栄養施策に関わっているか,2) 飲食店における定食のメニュー作成要因の質的検討,3) 飲食店が提供する定食は健康な食事の基準に合致するか,4) 外食・食品企業の考える「健康な食事」の普及の障害と可能性,5) 食物選択の動機による栄養成分表示利用の比較,6) 食関連企業における栄養成分表示活用の取り組み,7) 「地域の食環境認知」尺度の信頼性と妥当性の検討 これらの研究は,昨年度末,報告書としてまとめ,研究協力者や関連する研究者に送付し,社会貢献に努めた。現在この内の2つの研究を論文として,投稿中である。これら7つの研究に加え,昨年度,大学生を対象とした外食に対する考え方の調査も行っている。この調査結果は,今年度,学会等を通じて,公表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画では,外食企業に協力をしてもらい調査を行う予定であったが,昨年度調整をしたところ,協力が難しいことがわかり,調査会社を通して,調査を今年度実施することに切り替えた。そのため,昨年度の予算を今年度に繰り越した。 今年度は,昨年度のインタビュー調査を発展させ,外食事業者を中心とした調査を実施する予定である。また,外食事業者および外食利用者に向けた情報提供の必要性を感じたことから,パンフレット等の教材を検討する。さらに,今年度は,昨年度調査した大学生の調査を解析し,学会発表および論文化する。
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Causes of Carryover |
外食企業に協力いただき,調査を実施する予定であったが,実際,フィールド提供をいくつかの企業にあたったが,協力が難しいという結果であった。そこで,調査会社を通して,調査を実施することに,切り替えた。現地で調査を実施するより,調査会社を通して実施する方が,調査にかかる費用は高い。以上の理由から,次年度使用額が生じた。
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