2020 Fiscal Year Research-status Report
健康的な食環境整備に向けた食関連企業とのパートナーシップ構築に関する研究
Project/Area Number |
18K02219
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
赤松 利恵 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50376985)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食環境 / 健康 / 食関連企業 / 食品ロス / 健康日本21 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.飲食店経営者387人を対象に,健康日本21の認知度および活用,「適切な量と質の食事をとる者の増加」の目標への貢献の程度について調べた結果,61.2%(237人)が健康日本21を「聞いたことがない」と回答し,この者の3つの目標への貢献の程度を示す得点は,低かった。また,ラーメンやうどん・そば,ハンバーガーなどのファーストフードを提供する飲食店も,得点が低かった。 2.公開されている資料を用いて,高度経済成長期以降の日本人の栄養摂取状況の推移とその背景にあった食の産業化,我が国の健康・栄養施策の取組みを調べた結果,戦後国は様ざまな生活習慣病対策を行っているものの,中高年の肥満の割合や炭水化物エネルギー比の減少や脂質エネルギー比の増加傾向の変化はみられてなかった。今後は食関連企業は,企業目標の評価に,国の目標も指標として考慮することが,企業の社会的責任でもあると考えられた。 3.食べ残しを記録している飲食店とその経営者の特徴を検討した結果,食べ残し記録あり群は,63店舗(15.9%),記録なし群は335店舗(84.2%)であり記録あり群は記録なし群に比べ,店舗で接客・調理業務を担当していない者,栄養学の学習経験がある者が多かった。 4.全国47都道府県を対象に,現在行われている食品ロス削減に向けた取組と適量注文・適量提供と持ち帰りの取組状況を公開された情報を調べた結果,適量注文・適量提供の取組は30都道府県,持ち帰りの取組は23都道府県で行われているものの,客と店の両方に対する取組を行う都道府県は少なく,呼びかけのみを行っている県も多かった。 5.「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事をとる国民の増加」に向けた飲食店の取組状況を検討した結果,目標を「開始している」飲食店は,全体の6.9%であり,経営者の栄養学勉強経験があり,食に関するガイドラインを経営等に活用していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度,外食店舗経営者を対象に調査を実施したことから,2020年度は,外食利用者を対象に調査を行う予定であった。しかし,新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,飲食店の営業停止や時間短縮,感染予防のための外食利用の減少から,今年度の調査は中止した。 そこで,2020年度は,昨年度実施した外食店舗を対象とした調査データや公開されている情報を解析し,論文執筆や学会発表に専念した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,昨年度実施できなかった外食利用者を対象とした調査を実施する。ただし,コロナの影響により,外食利用者は減少していることから,外食(持ち帰り含む)・中食利用者に対象者を広げる予定である。 また,これまで実施してきたデータを用いて,引き続き,論文執筆を行い,社会に発信する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度,外食利用者を対象とした調査を実施する予定であったが,新型コロナ感染拡大の影響により,外食利用に大きな変化が生じたため,昨年度実施するのを見送ったため。2021年度は,延期した外食利用者対象の調査を実施する予定である。なお,新型コロナによる生活様式の変化に伴い,外食に限らず,持ち帰りやデリバリー,中食利用も対象にする。
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