2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of detection method for potential food allergens
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18K02220
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
黒瀬 光一 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30280754)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アレルゲン / 食物アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はタンパク質が内在する潜在的なアレルゲン性の有無や程度を検出し、アレルゲン性を評価することが可能な試験系を開発することにある。評価系として、単球様株化細胞THP-1をアレルゲンに対する応答性と増殖能を維持する細胞に分化させ、アレルゲンマーカー候補遺伝子のアレルゲンによる発現誘導をアレルゲン性の指標とする系を想定している。昨年度報告では、GM-CSF/IL-4刺激を行ったTHP-1細胞(以下、樹状細胞様細胞と言う)のアレルゲン応答性ならびにアレルゲンの検出限界について検討をおこなった。本年度は、THP-1細胞におけるマーカー候補遺伝子の発現誘導が、自然界に広く分布している微量のリポポリサッカライド(LPS)によって引き起こされることが判明したので、この点について検討を報告する。 樹状細胞様細胞にLPS(エンドトキシン)を曝露した結果、アレルゲンである卵白アルブミン(OVA)、β-ラクトグロブリン(β-LG))曝露時に発現増加がみられていたアレルゲンマーカー候補であるCD54ならびにCD83遺伝子の発現増加が見られた。このことから、CD54, CD83の発現誘導はアレルゲン特異的応答ではないことが判明した。一方、アレルゲン曝露時のCD54およびCD83発現誘導率(マーカー候補応答性)は樹状細胞様細胞よりも未分化のTHP-1細胞(以降、単にTHP-1細胞と言う)で高くなることが判明した。以上のことから、以降はTHP-1細胞を用いて実験を行った。OVA、β-LGに含まれるエンドトキシン濃度を測定したところ、THP-1細胞に対してCD54, CD83の発現を誘導するだけのエンドトキシンを含有することが判明し、OVA、β-LGによるCD54, CD83の発現誘導はエンドトキシンの混入が原因であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
アレルゲンによるTHP-1細胞の応答がエンドトキシン由来の応答であることが示唆されたので、その検証が必要になったことと、新型コロナウイルス感染の拡大防止対策により大学構内への入構規制が行われたことにより、当初の予定より研究が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
アレルゲン試薬中にエンドトキシン(LPS)の混入が確認されたため、このままではアレルゲンマーカー候補遺伝子の発現誘導がアレルゲンによるものなのかエンドトキシンによるものなのか評価することができない。そこでアレルゲン試薬中に含まれるエンドトキシン作用の抑制を試みる計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染の拡大防止対策により、研究が中断し、当初の予定より研究が進まず、次年度使用額が生じた。また、次年度使用額は、アレルゲン特異的なTHP-1細胞の応答が得られるようアレルゲン試薬中に混入が確認されたエンドトキシン(LPS)の作用の抑制を試みる実験に使用する計画である。使用費目は消耗品、学会参加のため旅費、及びその他(論文投稿料等)であり、本研究遂行において必須の経費である。消耗品に関しては、実験のための試薬や培地とチューブやプレートなどの実験器具の購入に充てる予定である。
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