2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of detection method for potential food allergens
Project/Area Number |
18K02220
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
黒瀬 光一 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30280754)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / エンドトキシン / アレルゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の報告で、アレルゲン試薬に混在するエンドトキシン(LPS)がアレルゲンマーカー候補遺伝子の発現誘導に寄与している可能性が示唆された。そこで、アレルゲン試薬に含まれているエンドトキシン量に相当するLPSを定量し、17マーカー候補遺伝子の発現誘導能を調べた。その結果、マーカー候補4遺伝子に関して、LPS単独の曝露に比べて、アレルゲン(OVAおよびβ-LG)曝露ではさらに高い遺伝子発現誘導がみられた。このことから、アレルゲン試薬によるマーカー遺伝子の発現誘導は混在しているLPSのみに由来するのではなく、アレルゲンとLPSの両方が寄与していると考えられた。 そこで、LPS応答性のみを特異的に低減することができれば、アレルゲン特異的な評価系の構築が可能であると考え、シアル酸(SA)によるLPSの不活性化が可能か否かを試した。その結果、試みた条件では、SAによるLPS抑制に十分な効果は得られなかった。次いで、LPS阻害薬として知られているポリミキシンB(PMB)によるLPS応答性の抑制を検討した。その結果、30エンドトキシンユニット(EU)/mLのLPSに対して、PMBを10μg/mlで培地に添加した場合に、いずれのマーカー候補に対しても十分な抑制効果を示した。そこで、OVAとβ-LG中に混在しているエンドトキシン濃度が30 EU/mLとなるようにTHP-1細胞に曝露し、両アレルゲン試薬中に混在しているLPS応答性をPMBで抑制することにより、アレルゲン特異な発現誘導の検出を試みたが、いずれのマーカー候補においてもアレルゲン特異的な発現誘導が確認できなかった。ただし、今後、PMBでLPS活性を抑制した上で、アレルゲンマーカー候補遺伝子を新たに選定することにより、THP-1細胞を用いた潜在的食物アレルゲンの検出・評価を実現できる可能性はあると考えられる。
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