2018 Fiscal Year Research-status Report
酸性からアルカリ性の広範囲pHにおける炊飯液が米飯品質に及ぼす影響
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18K02226
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
大石 恭子 和洋女子大学, 家政学部, 准教授 (40372908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香西 みどり お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (10262354)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 米飯 / 物性 / pH / 炊飯液 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究は,炊飯液のpHの違いが炊飯過程の米,炊き上がり後の米飯,そして米飯の老化に与える影響を明らかにすることを目的としている。その中で,2018年度は始めに米飯試料の調製を検討した。次に炊飯時のpH,温度履歴を測定し,炊き上がり後の米飯の色,形状,物性測定,官能評価を行った。また,4℃で14時間冷蔵保存した飯も調製し,炊飯液のpHが老化に与える影響について検討した。 炊飯液のpHとして3,5,7,9を設定し,食酢および重曹を単独または組み合わせて用いた調味液を利用した。炊飯液が3,5,7,9であっても,炊き上がりの飯のpHは各々 4.2,5.9,6.8,8.8(以降,酸性飯,弱酸性飯,中性飯,弱アルカリ性飯と称する)であり,米の緩衝作用により,酸性飯および弱酸性飯は浸漬および加熱時において中性に近づくことが示された。飯の炊き上がり倍率は4試料間に差は見られないが,飯粒の形状は,弱アルカリ性飯において長径が有意に長く,アルカリ条件は澱粉の吸水膨潤に影響を与えることが示唆された。 炊飯直後の飯の物性においては,機器測定において,弱酸性飯および中性飯に比べると酸性飯および弱アルカリ性飯は,粒表層の硬さが有意に減少し,粘りが増加した。また粒全体および表層の付着性はいずれも有意に増加した。冷蔵保存後の飯においては,酸性飯および弱アルカリ性飯の硬さ,粘りおよび付着性において,老化抑制効果が認められた。一方,弱酸性飯においては老化促進の傾向が示された。弱酸性飯の特徴は,官能評価でより顕著に見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究は,2018年度および2019年度に炊飯直後の飯を対象とした測定を行い,2020年度に老化させた飯を対象とすることを目的としていた。しかし試料調製の都合より,2018年度に炊飯直後の飯および老化させた飯の測定を行った。2018年度の計画にあった米の成分分析に関しては2019年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は緩衝液を用いて炊飯液を調製し,pHの違いが炊飯過程において米の成分に与える影響を詳細に調べることを目的とする。 始めにpHが3,5,7,9の緩衝液を用いて米飯を調製し,調味料を用いて炊飯を行った2018年度の結果と,物性測定において同じ傾向が得られるかどうか確認をする。 次に炊飯過程における米の成分について調べる。炊飯液が40,60,80,98℃に達した時点で米と炊飯液に分け,米の重量測定,炊飯時の溶出固形分量,糖,アミノ酸,タンパク質の定量を行う。 炊き上がり後の米飯においては,米飯表層の成分を抽出し,糖およびタンパク質の定量を行う。また米飯をホモジナイズ後,80%エタノールを用いて抽出液を得て,糖,アミノ酸量を測定する。米飯のパラフィン包埋切片を作製し,ヨウ素,またはアクロレイン・シッフ試薬を用いて澱粉およびタンパク質を染色し,光学顕微鏡で澱粉の糊化の様子を観察する。ラピッドビスコアナライザーおよび回転粘度計による粘度測定を行い,pHが澱粉の糊化特性に与える影響を調べ,これらの結果と物性測定との関係について検証する。
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Causes of Carryover |
研究内容の年次計画を入れ替え,2018年度は試薬が必要ない米飯の物性測定や官能評価を行った。2019年度は米の成分分析を行うため,試薬や分析カラム等の購入に充てる予定である。
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