2020 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of cooking water in a broad pH from acidic to alkaline condition on the quality of cooked rice
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18K02226
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
大石 恭子 和洋女子大学, 家政学部, 准教授 (40372908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香西 みどり お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (10262354)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 米 / 炊飯 / pH / 物性 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに,酸性および弱アルカリ性の炊飯液で調製した飯は軟らかくて粘りがあり,5℃で14時間保存した場合,老化が抑制される一方,pH 5~6の弱酸性の飯は老化が促進されることを官能評価,物性測定により示した。そこで物性変化の機構解明にあたり,各種pHの緩衝液で炊飯した飯の抽出液の成分,さらに米から溶出するタンパク質量の分子量分布および米デンプンの糊化特性を調べた。 飯洗液の溶出固形分およびタンパク質量は緩衝液pH 5.0および7.0を用いた飯に比べて,緩衝液pH 3.0および9.0を用いた飯は著しく高い値を示した。酸性およびアルカリ性での炊飯において,タンパク質の分解や可溶化による溶出デンプン量の増加が米飯の付着性の増加に関与していることが考えられた。炊飯液のpHの違いが米飯のタンパク質に与える影響を詳細に調べるために,アスパラギン酸プロテイナーゼの酵素阻害剤であるぺプスタチンを併用して50℃で1時間米を浸漬し,溶出タンパク質量の測定ならびに分子量分布を調べた。緩衝液pH 3.0ではグルテリン分解物の溶出が確認され,pH 5.0ではアルブミンおよびグロブリンの溶出が少なかった。緩衝液pH 7.0と9.0では溶出される分子量分布に違いはなく,溶出量がアルカリ条件において増加した。米タンパク質の低分子化やアルカリ条件での加熱によるSS結合の還元が,デンプンの吸水,膨潤,糊化の促進,ならびに炊飯液へのデンプンの溶出を促し,飯表層に付着する成分の増加に寄与することが示唆された。一方でpH 5.0の条件ではタンパク質の可溶化が抑制されており,デンプン周囲のタンパク質がデンプンの膨潤を妨げる一因になることが示唆された。またデンプンにおいては,pH 9.0の条件では糊化によるデンプン鎖間の水素結合の破壊にアルカリは関与していないことが示された。
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Research Products
(2 results)