2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢者同士による共食の行動メカニズムの解明と社会的ネットワーク形成への効果の検証
Project/Area Number |
18K02229
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
徳永 弘子 東京電機大学, システムデザイン工学部, 研究員 (00747321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 敦 日本大学, 危機管理学部, 准教授 (90462530)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 共食コミュニケーション / 多人数会話 / 高齢者 / 孤食 / コミュニケーション支援 / 社会的ネットワーク / 食事行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)映像データの取得:千葉県印西市シルバー人材センターの協力を得て,65歳~80歳の男女24人に食事会話の映像収録を依頼した.協力者らは6人1組計4組に分かれ,同市内の和食レストランの個室において,1回約1時間程度の食事会話を行った.食事は,御膳形式と大皿形式の2回であり,各食事は3週間の感覚で行った.各組の食事形式の順序はカウンターバランスをとった.また食事の事前と事後に質問紙調査,インタビューを行った.これにより今後分析に資する映像データ,及び心理評価データを取得した. (2)共食映像コーパスの作成:(1)で取得した映像をアノテーションが可能な状態に編集した.分析に資するデータは,配膳前の食事がない会話場面が55分,御膳スタイルの会話が207分,大皿スタイルの会話が243分収められたことを確認した.その後,各組の第1回目の食事シーンを対象に,アノテーションソフトELANにより御膳スタイル2組,大皿スタイル2組の配膳直後から10分間の会話のアノテーションを行った. (3)食事スタイルによる会話場構築の特性抽出:(2)における会話者らの発話を書き起こしに基づき,食事配膳後の会話遷移を分析した.食事が大皿形式で提供されると6人は食器の場所や取り分け方について言及し,食事の場の形成に向けた共同作業を行っていることが確認された.こうした自分の食事だけでなく他者を配慮しながら食事を進める必要がある大皿スタイルは,コミュニケーションの活性に影響を及ぼしている可能性が示唆された.本成果は電子情報通信学会HCS研究会,ヴァーバル・ノンヴァーバル・コミュニケーション研究会において報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに予定していた共食会話映像を収録した.食事中の会話や行動のアノテーションを進めており,すでに質的検討を始めている.さらにそこで得られた結果は,研究会を通して公表している.よって,本課題は当初計画に対して,順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度,分析のための膨大な共食会話映像を取得した.次年度はアノテーションを継続し,分析データを作成する.具体的には,発話の転記,視線方向,食事動作のアノテーションを加速する.そのため会話映像のアノテーションの経験をもつアルバイトを雇用する. はじめに御膳スタイル2組,大皿スタイル2組のアノテーションを終わらせ,発話内容の遷移,会話の分裂と統合に食事がどのように関わるのかを明らかにする. これにより,濃いコミュニケーション形成のために効果的に影響する食事スタイルの解明を目指す.得られた成果は,HCS研究会,HCGシンポジウム,日本食生活学会などで報告する.
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Causes of Carryover |
研究分担者の所属機関において、データ解析を進める上で心理学的分析に関する技能を有する補助スタッフを継続的に雇用する予定であったが、雇用者と被雇用者のスケジュールを調整した結果、2018年度よりも2019年度の方が継続的に勤務可能な日時が多かったことから、2018年度予算の一部を2019年度に繰り越し、被雇用者に無理のないスケジュールで雇用を行うこととしたため。
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Research Products
(6 results)