2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者同士による共食の行動メカニズムの解明と社会的ネットワーク形成への効果の検証
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18K02229
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
徳永 弘子 東京電機大学, システムデザイン工学部, 研究員 (00747321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 敦 日本大学, 危機管理学部, 准教授 (90462530)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 共食コミュニケーション / 多人数会話 / 高齢者 / コミュニケーション支援 / 社会的ネットワーク / 食事行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)共食映像コーパスの作成:昨年度に引き続き,6人4組の銘々膳スタイル,共同膳スタイルにおける会話シーンのコーパスを作成した.具体的には発言内容は銘々膳スタイル198分,共同膳スタイルは186分を終了し,全分析対象をカバーするコーパスが完成した.視線行動はそれぞれ77分,100分のアノテーションが終了した. (2)食事スタイルによるコミュニケーションの特性抽出:上記により得られたデータから,提供された料理に関する話題の時間長と食事形式の関係,共同膳からの取り分け行為と料理の話題の時間長の関係を事例的に検討した. その結果,提供される食事形式によって目の前の料理が話題に上がる頻度が異なること,共同膳がコミュニケーションツールとしての役割を担っており,参与者の共有物としての存在がコミュニケーションの促進に寄与する可能性を示した. さらに視線方向のデータを加え,会話のトピック数との関連を分析した.その結果,共同膳形式の特徴として,大皿から取り分けるというイベントがあるだけでなく,取り分け皿に食べ物がなくなった参加者は,話し手に視線を向ける機会が増えること,ターンの区切りが取り分け行為のタイミングとなり,それまでのトピックは終息しやすいことが示唆された.これらの成果は,日本認知科学会,及び電子情報通信学会HCGシンポジウムで発表(最優秀インタラクティブ発表賞受賞)した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19 の感染拡大により,学生アルバイト雇用によるコーパス構築が一時的に停止した.これまで大学に登校して研究室のPCでアルバイト作業していた就業形態が継続できなくなったためである.そこで,学生が自宅にて作業できる環境整備,データ流出防止に対する対応,勤務管理方法などを話し合い,書き起こし作業を再開した.また,多人数共食という課題の特性から,データの信頼性を担保するための追加実験が不可能となった.この問題についてもオンラインで可能になる手法に変更して実施することとし,当初の計画を修正しつつ課題を遂行している.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,コーパス構築を進めるためのアノテータを雇用する.銘々膳形式による多人数オンライン共食実験を実施し,銘々膳形式の追加データを取得する.データに対し,人が食事中に表出する言語非言語情報を定量的,定性的に分析し,本研究の最終目標である,高齢者が社会的ネットワークを効果的に形成できる共食の在り方を,人間行動科学的なエビデンスを持って提案する.成果は認知科学会,電子情報通信学会,情報処理学会などで報告する.
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大の影響で,アルバイト雇用,及び追加実験が中断したため予算執行がおこなわれなかった.さらに同影響により,当初予定していた旅費の支出がなかった.次年度も学会開催がオンライン化されることが予想され,旅費の予算執行は少ないと考えられるため,追加実験,アノテータの雇用にあて,データの充実を図る.
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