2021 Fiscal Year Research-status Report
肌トラブル回避を目指した肌にやさしい低刺激口拭き用素材と適切な清拭法の提案
Project/Area Number |
18K02230
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
松梨 久仁子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20184244)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 清拭 / 肌トラブル / 摩擦刺激 / 摩擦力 / 押圧力 / 水平板法 |
Outline of Annual Research Achievements |
清拭布の肌への摩擦刺激に関して、2020年度までにKES-SE摩擦感テスターおよび引張試験機を用いた水平板法により測定した摩擦力と摩擦係数で評価を行ってきた。その結果、この2つの測定法の結果において、一部、摩擦係数に異なる傾向が認められた。しかし、水平板法については測定条件が十分ではなかった。そこで本年度は、水平板法について、試料の乾湿状態を乾燥状態、水分率100%、200%の3条件、摩擦子の面積を3cm×3cm、6.3cm×6.3cm、10cm×10cmの3条件、押圧力の測定条件を摩擦子の各面積につき2条件に設定し、清拭布の摩擦特性値に及ぼす影響について検討を行った。 摩擦子の面積については、面積の増加に伴い静摩擦力と係数は増加する傾向が認められた。動摩擦に関しては6.3cm×6.3cmで低くなり、3cm×3cmと10cm×10cmで高くなった。これは、面積が小さいとすべりの安定性が悪かったこと、大きいと摩擦子に装着した試料が測定中にゆがみが生じる場合があったこと、に起因していると考えられる。そのため、面積の小さい摩擦子と大きい摩擦子については、摩擦子の移動させ方を再度検討する必要があることがわかった。 押圧荷重に関しては、荷重を大きくすると小さい面積の摩擦子では摩擦力と係数が低下したが、大きい面積の摩擦子では摩擦力と係数は増加した。この傾向は過去に測定したKES-SE摩擦感テスターの測定結果と一致する。 試料の乾湿の影響については、乾燥状態に比べて湿潤状態の方が摩擦力と係数は大きくなった。また、荷重を大きくすると、乾燥状態よりも湿潤状態の方が摩擦力の増加率は小さくなった。したがって、実際の清拭においても、強く拭く際には清拭用素材は濡らした方が摩擦刺激を軽減できると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
摩擦特性等の物性試験は、ほぼ終了した。しかし、新型コロナの影響で拭き取りに関する官能検査の被験者を集めることが困難であった。そのため、官能検査は2022年度に行うことにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は2021年度に行うことができなかった拭き取りに関する官能検査を行う。被験者数は10名程度を想定している。 官能検査の結果から、拭き取り刺激の少ない素材の特性を明らかにするとともに、どのような拭き取り動作が良いのかについても併せて検討を行う。
|
Causes of Carryover |
2021年度は新型コロナの影響で被験者を伴う官能検査実験ができなかった。そのため、被検者の謝金、官能検査の実験補助アルバイト、データー整理のアルバイトなどの予算が消化できまかった。 2022年度に、官能検査とデータ整理に人件費として残額を使用したいと考えている。
|