2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Improving the Evacuation Capabilities of the Elderly by Recognizing Disaster Risk
Project/Area Number |
18K02243
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
生田 英輔 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (50419678)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者 / 津波 / 避難行動 / リスク認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
期間延長となった2021年度は追加実験として、2022年2月の住民参加の避難訓練においてデータの計測及びアンケート調査を実施した。避難訓練は津波襲来直後ではなく、湛水解消後の2次避難を想定したものである。実験目的は避難経路の調査、避難者の行動計測、避難者の意識調査である。大阪市港区から天王寺区までおよそ8㎞の経路を設定し、地域住民等26名の参加での訓練となった。26名のうち9名が計測機器を装着し、位置情報、歩数、歩幅、消費カロリー、心拍を計測した。また、南海トラフ地震に対する意識に関するアンケート調査を実施した。 8㎞の移動時間は途中の15分休憩を含め2時間40分であった。欠測なく計測できた6名の結果の分析から、平均心拍数は高齢者の軽い有酸素運動の基準とされる90-110bpmの範囲内であった。心拍変位量は100未満が4名、100以上が2名となった。 アンケート調査では、約3割が「6-10年後」に南海トラフ地震が発生すると考えており、大阪の住民においても比較的喫緊の課題として認識されている。そして、津波や避難への不安はほとんどの人が感じていた。具体的には、避難場所の安全性、自宅以外での被災時の避難場所、避難の方法、業務中の避難の判断などがあげられていた。さらに、長時間の移動となると気候、渡河、大人数での避難などが留意点として指摘されていた。今回の訓練の負担感は個人差が大きく、年齢と疲労感にはあまり関係は見られなかった。すなわち、年齢以外の要因として平常時の運動習慣の影響などが考えられる。 本実験を通じて、高齢者においても体力レベルは多様であり、避難者の特性に合わせて緩急をつけ速度などを統制すること、リスク認知を平常時の運動などの行動に展開させることがより適切な避難行動に繋がることが示唆された。
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