2019 Fiscal Year Research-status Report
小麦アレルギー患者向け新食感グルテンフリー食品の試作とその品質評価
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18K02256
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
村井 正之 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (00166240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 俊夫 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (60224812)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グルテンフリー / セルロース / 品質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
米粉とパルプ抽出物との混合による食品製造の前段階として、まずパルプ抽出物自体の配合による影響を分離評価することを目的として、小麦粉を使用した食品(菓子)の小麦粉(薄力粉)の一部をパルプ抽出物で代替(置換)することによる食品の物理的食感への影響を調査研究した。具体的には小麦饅頭に対してパルプ抽出セルロースを適用した。薄力粉と水、膨張剤、砂糖のみを主原料とする小麦饅頭の生地に対して、その薄力粉の質量の20%,40%,60%を、パルプから抽出した、粒子径の異なる3種のセルロースで置換し、別途用意した餡を包み込んだ小麦饅頭に仕上げたうえで、その品質を機械計測により比較評価した。機械計測は、1)咀嚼試験、2)色調、3)膨張率の3項目とした。1)の咀嚼試験では直径8mmの押子を用いて圧縮速度50mm/min.で圧縮深さ10mmまで、2回押す試験を行い、その反力や粘着力を計測した。また、2)色調は色差計を用いて、セルロース置換しない標準試料との色差を計測した。3)膨張率は、熱機械分析装置(TMA)を用いて1gfの恒常的荷重のもとで室温から120℃まで昇温させる過程での、試料に当てたセンサーの反力計測から算出した。その結果、1)セルロース置換の割合が増加するにつれて小麦饅頭の付着性が高まり、逆に凝集性は低くなる傾向を示した。また、粒子径の細かいセルロースほどその傾向の強度が高まった。2)色調のうち、色合いを示すa値でセルロース置換サンプルは標準試料よりも絶対値で小さな値を示し、小麦饅頭としての色合いが薄くなる傾向であった。3)膨張率は、セルロース置換したサンプルではその置換割合に対して指数関数的に激減する傾向を示した。これはグルテン形成による膨張のもととなる薄力粉が、セルロース置換により少なくなったことが主因である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は実験に必要な純度の米粉が困難であったことから、小麦粉製品の一部にパルプ抽出物(セルロース)を置換した菓子について試験を行い、セルロース置換による影響を分離して分析を行った。比熱測定はDSCを用いて計測しており、現在、数値計算ソフトを用いてデータ解析中である。また、研究ステージⅢに計画したとおり、人工唾液による試験についても一部で試験を先行して検討を進めており、計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
セルロース置換による混和食品の物性への影響がおおむね把握できたことから、次年度は米粉とセルロースの混和試験や、引き続き、別の食品(例えば白玉団子や抹茶蒸しパンなど)でのセルロース単体の物性への影響について調査研究を行う。そして、豚消化酵素を用いた人工唾液による消化試験などを行い、セルロースによるグルテンフリーもしくはグルテン減量食品の食感評価、消化性を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は、試験実施に当たって実験素材は在庫で賄うことができ、実験を行ううえで必要な資材は限定的であったため使用額が減少した。しかし次年度は最終年度に当たり、試験に必要な各種消耗品が当初予定よりも増大することが予想され、今年度に使用しなかった額を次年度に充当・活用する予定である。
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