2020 Fiscal Year Research-status Report
洗濯用合成洗剤の主要成分であるアルキルベンゼンスルホン酸の免疫に対する影響解析
Project/Area Number |
18K02259
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田中 進 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (70348142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 保子 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 准教授 (80452027)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルキルベンゼンスルホン酸塩 / カルシニューリン / 陰イオン界面活性剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、免疫抑制剤の標的酵素であるカルシニューリン(CN)のホスファターゼ活性を阻害する物質をスクリーニングする過程で、アクリロニトリルブタジエンゴム中から直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)を同定した。LASは、洗濯用合成洗剤の主要成分として我々の生活に密接に関係する陰イオン界面活性剤の一つであり、また環境汚染物質としても知られている。2020年度の研究では市販の陰イオン界面活性剤の中で3種類のスルホン酸塩を使用してヒト白血病T細胞由来Jurkat細胞に対する毒性を調べ、またJurkat細胞がコンカナバリンA(ConA)誘導性に産生するインターロイキン-2(IL-2)タンパク質を指標に細胞性免疫に対する影響を検討した。更に直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム標準品(C12-LAS)の癌・炎症に対する影響を調べるため、低分化型ヒト胃癌細胞株MKN45細胞を用いて、C12-LASの細胞に対する毒性と細胞が産生するプロスタグランジンE2(PGE2)を指標にシクロオキシゲナーゼ(cox)に対する影響について検討を行った。 本研究で使用した3種類のスルホン酸塩のJurkat細胞に対する増殖50%阻害濃度(GI50)とIL-2産生に対する50%阻害濃度(IC50)の結果から、少なくとも本研究で用いたスルホン酸塩は、細胞毒性のない濃度でJurkat細胞のIL-2産生を抑制することが示唆された。またC12-LASは、細胞毒性のない濃度でMKN45細胞のPGE2産生を抑制することが示唆され、C12-LASは炎症に関与するcoxに影響を与えることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム標準品(C12-LAS)のJurkat細胞のIL-2産生抑制に対する作用機序の検討がやや遅れていることから上記のような達成区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は以下の通り、研究を進める 1. 2020年度に引き続き、市販の陰イオン界面活性剤を用いてJurkat細胞のIL-2産生を指標とした細胞性免疫に対する影響解析を行う。 2. 直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム標準品(C12-LAS)によるJurkat細胞のIL-2産生抑制の作用機序の解析として、転写調節因子の検討を行う。 3. 2020年度に引き続き、ヒト胃癌細胞株を用いて、C12-LASのシクロオキシゲナーゼ(COX)に対する影響についてプロスタグランジンE2(PGE2)を指標に検討する。
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Research Products
(1 results)