給食施設での粉体食物アレルゲンの飛散特性の解析と混入防止対策

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K02266
• Research Institution: Tsu City College
• Principal Investigator: 橋本 博行 三重短期大学, その他部局等, 教授 (70442291)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 吉光 真人 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (70321940)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 食物アレルギー / 粉体食品 / 飛散性 / 給食施設 / アレルギー対応食 / コンタミネーション

Outline of Annual Research Achievements

給食施設において、食物アレルギーの原因となる5種類の粉体食品（スキムミルク、粉ミルク、小麦粉、きな粉、そば粉）について、落下時の飛散パターンを解析しアレルギー対応食への混入防止策を提案することを目的としている。
平成30年度は、5種類の粉体食品について、実験室環境下（温度19～25℃、相対湿度40～60％、風速0.05m/s未満）にて飛散実験を行ったが、5種類の粉体の飛散性の違いについて再現性のある結果を出すことができなかった。そこで令和元年度は、粉体食品の落下量や落下手法について検討を行った。落下させる粉体食品を10gから50gに増加させ、120㎝の高さより落下させることにより、落下地点から0.5m、1m、2m、3m、4m、5mの位置に置いた捕集液入りのシャーレ中に粉体を飛散させることができた。飛散落下した粉体粒子中の食物アレルゲンはイムノクロマト法により定性試験を行い、同一溶液についてELISA法による定量実験を行った。その結果、スキムミルクやそば粉の飛散性が高く、きな粉については飛散性が低いことが分かった。飛散落下実験の結果は、各種の粉体工学的な測定値の中の分散度と良い相関があることが明らかとなった。
飛散特性の解析については、落下飛散実験で実際に飛散している粒子の飛散パターンを可視化レーザー光により可視化して測定した。可視化測定については、落下飛散実験の落下位置から5m先までの範囲について、2台の可視化レーザー光を照射し、飛散する粒子の様子を撮影した。また、正面からの撮影も行った。その結果、食物アレルゲンを測定する落下飛散実験の結果について、実際に飛散する粒子の動きによっても確認することができた。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成30年度に予定していた、5種類の粉体食品についの飛散性の違いについて、再現性のある結果を出すことができなかった。そこで、令和元年度に、粉体食品の落下量や落下の手法について検討を行った。検討の結果、飛散落下実験法について確立することができた。しかし、令和元年度に当初予定していた給食施設内において調理時に想定される高い温度と相対湿度の測定、ならびに高い温度と相対湿度の条件を実験室内で再現した飛散実験を行うことができなかった。

Strategy for Future Research Activity

飛散性の高いと判断された粉体食品について、給食施設内において調理時に想定される高い温度と相対湿度の条件について、実験室内でそれぞれの条件を変化させて、飛散落下実験を行う。そして、粉体食品の飛散性に与える温度と相対湿度の影響について解析する。また、調理時を想定した粉体食品の飛散性を抑制する手法について検討する。
令和2年度に当初予定していた、給食施設の調理室を想定した空調設備やダクトが設置された学内の給食管理習室内において、風速、湿度、そして温度を計測する。さらに、飛散性の高いスキムミルクについて、給食管理習室内にて飛散落下実験を行い、飛散落下した乳アレルゲンの測定をイムノクロマト法とELISA法により行う。また、給食管理習室内に飛散するスキムミルクについて、可視化レーザー光の照射と動画撮影を行う。以上の実験により、給食施設の調理室での粉体アレルゲンの飛散性やコンタミネーション防止策を検討する。

Causes of Carryover

旅費や人件費等が当初の計画通りに使用できなかったために次年度使用額が発生した。翌年度分の助成金と合わせて、当初の計画どうりに使用できるように心がける。