2021 Fiscal Year Research-status Report
母体栄養および腸内細菌叢が仔の1型糖尿病発症に与える影響
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18K02267
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
籠橋 有紀子 島根県立大学, 看護栄養学部, 教授 (30369756)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 母体環境 / 母子栄養 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト1型糖尿病は、自己免疫疾患の一つである。膵臓の内分泌組織でありインスリン分泌を担うランゲルハンス島β細胞が自己免疫反応によって徐々に破壊され、インスリン分泌不全が生じて引き起こされる重篤な疾患である。これまで我々は、1型糖尿病モデル動物の一つであるNODマウス(Non-obese diabetic mice)を用いた研究を行い、母体の摂取する栄養および内分泌環境の違いが1型糖尿病の自己免疫進行や、顕性糖尿病の発症率に影響を与えるという知見を得ている。 本研究では、母体の摂取する栄養素およびそれにより変化する母体もしくは仔の腸内細菌叢が、それぞれどのように仔の1型糖尿病発症に関わっているのかについて明らかにすることを目的としている。1型糖尿病になりやすい系統、および近縁系統で糖尿病を発症しない系統のマウスを用い、母体の腸内細菌叢の違いが仔の1型糖尿病発症率や病態形成にどのように影響するのかについて比較検討を行った。その結果、NODマウスの腸内細菌叢は、発症前後の病態の変化とともに糞便中の腸内細菌叢の変化が生じることが示唆されている。また、NODマウスの妊娠母体が摂取する食餌に含まれる脂質または多糖類の違いにより、仔の腸内細菌叢に著しい変化があり、仔の自己免疫反応の進行に影響を及ぼす可能性が示唆された。妊娠母体に異なる多糖類を含む食餌を摂取させ出生した仔や、離乳後に対照食から作成した食餌を摂取した仔および膵島炎発症の程度、顕性糖尿病の発症率について、組織学的評価を行っている。離乳前後の食餌からの影響の違いを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により研究の中断を余儀なくされたため、長期間の観察の一部に支障を来したため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルス感染拡大の収束とともに、研究の遂行が可能になり徐々に結果を得つつある。
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Causes of Carryover |
初年度からの遅れおよびコロナ禍の影響で研究の遂行が遅れているため、次年度使用額が生じた。当初予定していた長期観察用の実験材料等に使用する。
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