2020 Fiscal Year Annual Research Report
A theoretical study of John Dewey's view of 'the public nature of education'
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18K02270
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
石田 雅樹 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10626914)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | John Dewey / 教育の公共性 / 市民性教育 / 職業教育 / ナショナリズム / ソビエト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も前年の研究を踏まえ、ジョン・デューイの市民性教育論について着実な研究成果を上げることができた。 第一に、前年度に寄稿した査読論文「「市民性」を陶冶する教育、「国民性」を育む教育 : ジョン・デューイにおけるナショナリズムと教育」(『年報政治学』2020(2), 237-255, )が受理・掲載された。本稿では、従来の研究では看過されてきたデューイのナショナリズム論を検証し、その「市民性教育」論が、アメリカ・ナショナリズムと親和性を有することを論証した。 第二にこれと関連しつつも異なる視点として、デューイ自身のデモクラシー論の変質、とりわけ社会主義への傾倒に伴う「市民性教育」論の変質を問い直す作業を行った。学会報告「ジョン・デューイにおける「デモクラシーと教育」の変貌:市民性教育、社会改造主義、ソビエト・ロシア」(社会思想学会、2020/10/24-25、オンライン開催)では、この点についてデューイのソビエト・ロシアの教育論に光を当て、その意義を明らかにした。 第三に、デューイのデモクラシー論における「効率性」efficiency について、当時の職業教育の文脈においてその意義と限界を論じた。論稿「ジョン・デューイにおける「デモクラシー」と「効率性」――進歩主義教育、職業教育、ゲーリー・プラン」『宮城教育大学紀要』2021(55), 45-52)では、一方においてデューイの職業教育論の先駆的意義を明らかにすると同時に、他方ではゲーリー・スクールなどへのデューイの評価はその実態を反映したものではないことを論証した。 以上、本年度はデューイ「教育の公共性」における「市民性教育」の位置づけについて、ナショナリズム、社会主義、職業教育という相異なる論点から論じる作業を通じて、その意義を明らかにした。
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Research Products
(4 results)