2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K02273
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
及川 英二郎 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80334457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 美江子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40297049)
渡辺 大輔 埼玉大学, 教育機構, 准教授 (00468224)
艮 香織 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (10459224)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性教育 / 人権教育 / 性の多様性 / セクシュアリティ / ジェンダー / 包括的性教育 / 国際セクシュアリティ教育ガイダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、性教育を中心にすえた人権教育の今後のあり方を展望するため、「性」と「人権」の関係がいかに理解されてきたかを、社会運動史として明らかにすることである。そのため、“人間と性”教育研究協議会(性教協)について、第1にその歴史を複数の系譜の相互関係として見ることで性教育をめぐる人権意識の多元性を明らかにすると同時に、第2に同会関係者への聞き取りを通して性教育実践の多様な足跡を辿り、「性」と「人権」との関係づけ方を時代状況に即して明らかにする。 以上の研究の前提的な作業として、2018年度においては第1に『同時代史研究』誌上(第11号、2018年12月発行)に特集「「性教育」の同時代史」を組み、研究代表者による趣旨説明とあわせて、研究分担者3名による論考を掲載した。これによって、戦後日本における性教育の歴史を、文部省の動向を中心に概略的に把握すると同時に、性教育実践の今日的な課題を人権教育と性の多様性の2つの視点から整理することができた。第2に、性教育実践の社会運動史を研究するさいの課題の所在について、研究代表者による研究ノートを『東京学芸大学紀要』に掲載した。第3に、性教協の創設者の1人である山本直英の著作を収集した。 これらの作業をふまえ、2019年1月17日には、性教協関係者3名(安達倭雅子、佐藤明子、狛潤一)による座談会形式のヒアリングを実施した。録音・録画記録は次年度に原稿化する。また、5月には村瀬幸浩からのヒアリングを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本教育学会での準備報告を経て、『同時代史研究』と『東京学芸大学紀要』誌上で、研究代表者と研究分担者それぞれが、研究テーマに関連する論考を公表することができた。 また、ヒアリング作業も、準備作業にやや手間取ったが順調に開始することができた。対象者によっては質問項目を変更するなど、今後工夫を要するが、概ね軌道に乗りつつあると言って良い。 授業実践の研究については、参観校がまだ少ないが、1校については継続して実施しており概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
山本直英関連の文献を引き続き収集すると同時に、村瀬幸浩関連の文献収集にも着手する。 また、聞き取り作業をある程度システム化し、体系的に実施できるような態勢を整える。あわせて、録音・録画データのテープ起こしを業者に発注し、そのチェック態勢を整える。 これらの作業を、性教協において取り組まれている40年史の編纂作業や、機関誌『セクシュアリティ』の編集作業などと連携させながら進める。また、研究代表者が同時並行的に進めている『現代日本社会運動史研究(仮題)』の出版計画とも連動させることで、性教育実践に関する歴史像をより立体的で具体的なものにできる。
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Causes of Carryover |
ヒアリングの始動が遅れ、謝金の支払いが次年度回しになるなど、予算消化が追いつかなかったため。新年度は、すでに実施したヒアリングの支払い手続きを早急に行うとともに、他のヒアリングも順次行い、ペースをあげていく計画である。
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Research Products
(20 results)