2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K02273
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
及川 英二郎 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80334457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 美江子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40297049)
渡辺 大輔 埼玉大学, 教育機構, 准教授 (00468224)
艮 香織 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (10459224)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性教育 / 人権 / 人間と性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はヒアリング作業を重点的に行った。計9回、4人の聞き取り対象者から複数回、各回2時間から3時間行った。2019年1月17日は安達倭雅子・佐藤明子・狛潤一の3氏と研究分担者・艮香織氏と及川の座談会形式で性教協の歴史や性教育の課題、個々のライフヒストリーをうかがった。また、5月9日・6月19日・7月11日に1回ずつ、村瀬幸浩氏より同様のテーマで、また8月23・25日に安達氏、8月30日に佐藤氏、9月7日に狛氏からそれぞれ聞き取りを行った。内容的には、性教協の設立過程、「人権・自立・自由・共生」という四原則の定着過程、「従軍慰安婦問題」や「性情報の氾濫」「エイズパニック」や2000年代に入っての性教育バッシングの動向など、当事者としての体験談を多角的に収集しつつある。また、組織内部の人間関係など、公的には表面化していない内部事情など、戦後日本における性教育運動の展開過程を考察するうえで重要な情報を得ている。 以上の活動とあわせて授業研究については、足立区の中学校の授業を中心に、人権教育としての性教育実践にむけて内容を改善し、同時にそれを実践集として出版する取り組みと連動させている。。 また、ユネスコ発行の『国際セクシュアリティガイダンス』第2版を検討し、「包括的」という言葉の多義性や、初版と第2版との視点のちがい、例えばHIV/AIDS対策の一部として構想されていた「包括的な性教育」が、第2版ではHIV/AIDS対策を一部とする「包括的な性教育」へと拡大していること、ジェンダー概念の形骸化が見られること、性に対するポジティヴな姿勢という主張が、人権概念の再解釈を伴わずに行われるため、「性行為をする」ことが、他の自由権と同様の「不可欠な権利」であるかのような誤解を生み、「性行為をしたくない人」の権利が侵害される可能性があるなどの課題が浮上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
聞き取り事項の整備と、その公表方法について聞き取り対象者と合意形成するのに時間がかかっている。 また、1月からのコロナ・ウィルスの広がりによって、十分に相談する場を設けられない。聞き取り対象者はみな高齢で、オンライン会議ができないのに加え、コロナウィルスについては感染することが致命傷にもなりかねず、身動きがとれない現状である。 ガイダンスの第2版の翻訳許可が遅れているという問題もある。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒアリングを中心にすることに変更はない。公表の方法についてはテーマを限定して整理していく方向で検討中である。セクシュアリティ100号企画や、性教協40周年企画とも連動させながら、性教協の歴史を中心に、その課題を析出するという課題意識にシフトさせる方が生産的であろう。
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Causes of Carryover |
今年度は聞き取りデータを公表する際の原則を聞き取り対象者と相談しながら作成するのに手間取った。また、コロナウィルスの影響で、そうした相談を直接することができなかったことも、作業を次年度に繰り越す原因となった。
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