2019 Fiscal Year Research-status Report
小中一貫教育における小学校段階からの教科担任制の効果的な導入に関する研究
Project/Area Number |
18K02278
|
Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
初田 幸隆 京都教育大学, 教育創生リージョナルセンター機構, 教授 (80791350)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 真人 京都教育大学, 教育創生リージョナルセンター機構, 教授 (50346699)
樋口 とみ子 京都教育大学, 教育創生リージョナルセンター機構, 教授 (80402981)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 小中一貫教育 / 義務教育学校 / 教科担任制 / 教職アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2年次は大別して、次の3つに取り組んだ。①初年度に実施した978名の教員対象のアンケート調査結果の分析と考察である。小中教員の働き方や考え方等における相違点を明らかにし、その相違点に関する教員の意識が、校種の違いにより、どのように異なるのか、また、所属する校種が変わった場合、その意識は変化するのか。 ②前述した校種の変化による教員の校種特有の意識の変化を見るため、2019年度に開校した京都市内の義務教育学校において、2018年度と同様の調査を行い、経年による変化を分析した。 ③は教科担任制に関する教員と児童生徒の意識から、教科担任制の開始時期を探るために、②の調査に加え、2018年度に実施した児童生徒対象の意識実態調査を2019年度も4つの学校(義務教育学校2校と小学校、中学校それぞれ1校)で実施し、経年による変化等について分析し考察を行った。この様に校種別はもとより、義務教育学校だけで2校行った理由は、1校は開校年度、他の1校は開校9年目の学校であり、教員の意識が、勤務年数によりどのように変化するのかを見ようとしたものである。 また、京都教育大学が主宰し、近畿圏内を中心とする小中一貫校並びに義務教育学校で構成される「義務教育学校懇談会」において、研究の一端を紹介したり、京都市内の義務教育学校において、教科担任制の導入時期に関する研究の途中報告を行った。 また、2年時も、小中間の連携や教科担任制等のシステムについて、海外との比較研究を行うために、オランダの初等中等学校4校ならびに教員養成大学において調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた教員並びに児童生徒に対するアンケートによる調査は終了したが、当初から予定していた集計等作業に想像以上に手間取ったことと、当初予定していなかった義務教育学会でのシンポジスト参加や、小中一貫教育フォーラムIN堺における2つの分科会における指導助言、さらには、大分市をはじめとする地域における講演活動などの準備等に手間取り、アンケートの集計結果をもとにした研究チーム部会が年度末開催になった。その結果、コロナウィルスによる会議等の自粛と重なり、2年目の集約ができないままに3年目に突入している。 この様な状況にはあるものの、児童生徒アンケートから明らかにした思春期開始時期や、教員アンケートに見られる教科担任制に関する意識から、開始時期についての根拠を示すところまでの研究が進んでおり、最終年度につなげていきたい。 また、調査結果をより確かなものにするため、春期休業を利用して教員からのインタビューによる調査を併用しようと考えていたが、前述の通り学校訪問がかなわず、2010年度に実施することにしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに実施済みの教員を対象とするアンケートと、児童生徒を対象とするアンケートの集計結果をもとにした考察をさらに進めながら、小中一貫教育における学級担任制から教科担任制への移行についての時期や方法についてまとめる。 その時期については、思春期の開始時期との相関で考えており、この根拠をより確かなものにするために、学校現場の教員の様々な体験や経験を聴き取り、研究結果について協議し、論文につなげようと考えている。 その場としては研究チーム(本学義務教育学校専門委員会)と協力チーム(義務教育懇談会)を想定しているが、コロナ・ウィルスの関係で予定を変更しなければならないことも考えて取組を進めるものとする。 また、最終として小中一貫教育フォーラムや義務教育学会での講演等に反映させたいと考えていたが、2019年度に講演等を行い、その中で研究途中の報告を若干したことから、最終的には紙上報告として成果を教育現場に還元していきたい。
|
Causes of Carryover |
理由として次の2点を挙げる。 ①当初児童生徒アンケート2158名分の集計作業を業者委託する予定であったが、協力校におけるSQSシステム等の活用により、集計作業が簡便化されたため、当初予定していた経費を使うことなく作業を進められた。 ②年度末に予定していた訪問調査については、オランダにおける調査は実施できたものの、近畿を中心とする学校現場での聞き取りがコロナウィルス禍により実施できなくなり、旅費が大幅に減少した。
|