2019 Fiscal Year Research-status Report
職業上の機会均等の観点からの高等官任用資格試験の研究
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18K02284
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Research Institution | Sendai Seiyo Gakuin College |
Principal Investigator |
堀之内 敏恵 仙台青葉学院短期大学, こども学科, 准教授(移行) (50757169)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高等官任用資格試験 / 高等試験令第七条試験 / 職業上の機会均等 / 就業格差 / 官吏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に引き続き、高等試験令第七条試験(以下、高資)に関する史料の調査収集と分析を進めた。一次史料の調査収集は埼玉県立文書館、秋田県公文書館で行った。埼玉県立文書館の調査では、非開示文書の中に高資受験者の実相を明らかにするための手掛かりとなる史料を複数発見し、開示交渉を続けている。 前年度、本年度に収集できた一次史料は限定的ではあるものの、各年度の受験者名簿、受験者調書からは受験者の実態の一端が見えてきた。合格科目の積み上げの状況からは、何年も同じ科目で足止めされている者が散見されるなど、合格への道のりが容易ではなかった様子が合格率の低さを裏付ける形で明らかになった。 受験者の年齢も中等教育の卒業年齢である17歳から収集した史料で確認できた最年長は壮年である40歳と幅広い層が受験していたことがわかった。高資合格ののち高等試験予備試験、本試験に合格してはじめて高等官となる資格を得ることができることを考えると、就労年齢という面からも壮年層には厳しい道のりである。 一次史料の調査収集と並行して、二次史料の調査収集を国立国会図書館、早稲田大学図書館、東北大学附属図書館、宮城県図書館で行った。本年度は、1918年の高等試験令の制定に伴い新たに高資という試験が設けられた経緯、議論の過程を明らかにするべく、帝国議会会議録、新聞・雑誌記事などの調査収集を進めた。 これら前年度、本年度の研究成果をもとに研究論文(「高等試験令第七条試験の研究―戦前期官吏任用制度におけるバイパスとしての機能に着目して―」『人間発達研究』)をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にしたがっておおむね研究を進めることができた。一次史料調査を予定していた埼玉県立文書館、秋田県公文書館で史料収集を行った。2年間の研究成果を論文としてまとめ公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、高資に関する史料の調査収集と分析を進める。次年度は本研究課題の最終年度にあたる。本課題研究の主題である「職業上の機会均等」という観点から高等試験の実態を総括し、3年間の調査結果を踏まえた成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
3月に購入した書籍代、論文の抜き刷り代の会計処理が次年度に持ち越しとなったため。
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