2020 Fiscal Year Research-status Report
青少年向けメンタリング・プログラムの基礎理論と政策的妥当性の検証
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18K02294
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
渡邊 かよ子 愛知淑徳大学, 文学部, 教授 (90220871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 直登 愛知淑徳大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (90175109)
今井 裕紀 新潟国際情報大学, 経営情報学部, 講師 (20866529)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メンタリング / メンター / 青少年 / プログラム評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の三つの方向から研究成果を発表したが、コロナ禍にあって資料調査や面接調査等、十分な研究活動を行うことができなかった。 ①広島の「青少年支援メンター制度」の成果と有効性に関する中長期的プログラム評価についてはWatanabe, N.、Watanabe, K., Imai, H., Does Western-born Youth Mentoring Programme Function in Different Culture? : Exploring its Adaptability to Japan (I) (II), 8th Biennial International Conference of Community Psychology (ICCP), November 11-13, 2020, Victoria University, Melbourne: Australia (On-line, Poster)を発表した。しかしながら新型コロナウィルス感染症の蔓延により、例年行ってきたメンター向け定例研修会がキャンセルとなり、当初予定していた資料調査や面接調査を行うことができず、今年度の同プログラムの活動に関する十分な情報収集を行うことができなかった。 ②メンタリング・プログラムの理論的精緻化についてはメンタリングが及ぼすネガティヴな効果に関する知見を検討した。渡辺かよ子「メンタリングが及ぼすネガティブな効果に関する知見の検討」『日本生涯教育学会論集』41、3-12頁。 ③米国を中心とする各国のメンタリング運動と政策の動向分析については、渡辺かよ子「米国におけるコロナ禍の青少年向けメンタリング運動の展開」(国立教育政策研究所、オンライン開催)、日本生涯教育学会第41回大会発表要旨集録』16頁、を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度全体の進捗としてまずまずであるが、三つの方向性のうち①については新型コロナウィルスの蔓延により遅れを余儀なくされている。 ①の広島の「青少年支援メンター制度」の15年間の成果と有効性に関する中長期的プログラム評価のうち、定量的評価についてはその概要を発表し、ほぼ予定どおり進捗している。しかしながら、定性的評価についてはコロナ禍にあって資料調査や聞き取り調査ができず、研究の停滞を余儀なくされている。 ②の理論的精緻化については、これまで批判的メンタリングとネガティブなメンタリングに関する知見に関する研究発表を終え、当初の予定どおりのまずまずの進捗となっている。従来のメンタリングをよきものとする前提を問い直すこれらの知見をいかにプログラムの実践にいかすかについても、メンター向け研修の教材等の開発検討に向けた準備を開始している。 ③の米国を中心とする各国のメンタリング運動と政策の動向分析については、プログラム評価のレヴュー、ならびに貧困対策や青少年施策等の社会政策的見地からの費用対効果の分析を行うことでメンタリング・プログラムの政策的妥当性の検証はほぼ完了しつつある。2020年には、本研究プロジェクト申請当初全く予期していなかった新型コロナウィルスの世界的蔓延が発生し、青少年向けメンタリング運動は様々な変容を余儀なくされている。現在、こうしたコロナ禍におけるメンタリング・プログラムの環境適応の分析に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる2021年度には、引き続き、各国の青少年向けメンタリング・プログラムに関する研究のレヴューを行いながら、三つの方向から研究を進めていきたい。 ①の広島の「青少年支援メンター制度」の15年間の成果と有効性に関する中長期的プログラム評価については、その定性的評価として、昨年度実施できなかった資料調査(メンター、メンティ、保護者の報告書等の資料収集)と分析、ならびにメンタリングの実際に関する聞き取り調査を実施して、定量的評価の結果と合わせて総合的検討を行いたい。 ②の円環的生涯発達支援としてのメンタリングの理論的精緻化については、批判的メンタリングとメンタリングのネガティブな効果に関する知見をふまえ、メンタリングの倫理規範やメンタリングの研修用教材について検討し、理論と実践の往還を試みたい。 ③の米国を中心とする各国のメンタリング運動と政策の動向については、引き続き、書籍や論文、インターネット上の情報を駆使してコロナ禍におけるメンタリング運動の変容と新たな動向を分析したい。もし今年度中にワクチンが行き渡り、渡米と調査の安全性が確保されれば、これまで3度の面接調査を実施したイリノイ州アーバナの青少年向けメンタリング・プログラムを訪問して、コロナ禍におけるプログラムの変容について聞き取り調査を行いたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の蔓延防止のために出席を予定していた学会がオンライン開催となり、また予定していた資料調査ができなかったために旅費に未使用金が発生した。令和3年度には、令和2年度の未使用金と令和3年度の研究費を合わせて今年度実施できなかった資料収集のための旅費ならびに物品費として使用することとしたい。
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Remarks |
・渡辺かよ子「青少年向けメンタリング・プログラムの成果と評価」『地域ケアリング』22-7、2020年、86-89頁。 ・渡辺かよ子「青少年向けメンタリング・プログラムの成果と課題」『地域ケアリング』23-3、2021年、81-84頁。
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