市民性における人権意識の涵養に資するサービス・ラーニングモデル構築に関する研究

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K02296
• Research Institution: Kyushu Kyoritsu University
• Principal Investigator: 山田 明 九州共立大学, スポーツ科学部, 教授 (70780766)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: サービス・ラーニング / 市民性（シティズンシップ） / 人権意識の涵養 / プロジェクトモデル

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、人権意識の涵養に特化したサービス・ラーニングモデルを構築することである。その成果を活用し、将来的には市民性（シティズンシップ）の資質能力の項目ごとに整理されたもモデル集（プロジェクトモデル）を作成するパイロットプログラムとして位置付ている。2018年度においては、九州共立大学の学生ボランティアが、福岡県岡垣町の小学校5年生及び中学校2年生のすべての児童生徒を対象に人権意識調査を実施し、その結果を分析して報告書にまとめた。本研究では学生のサービス・ラーニング（社会貢献学習）の活動において、人権教育に関するボランティアに特化した場合の学習効果を検証するため、人権関係以外の内容で実施した他のサービス・ラーニングの学習効果との比較検討をアンケート調査等で実施した。本研究では、一般的な市民性の資質項目に関する学習効果の検証だけでなく、人権意識を「認識」と「行動意図」に整理し、それぞれに６つの視点（生命尊重、自己認識、協調協働、労働観、科学的認識、国際理解）で学生の学習効果を検証している。特に人権意識に関する資質能力について、人権関係以外のサービス・ラーニングの参加学生と比較して人権意識に関する学習効果が顕著に表れている資質項目がみられた。これらの資質項目と人権関係のサービス・ラーニングの具体的活動内容の関係について、例えばサービス・ラーニング日誌やインタビュー、参与観察等を通じて検証して明らかにした。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2018年年度においては、計画していた人権意識調査（アンケート調査の作成を含む）の実施、分析報告書の作成を完了し、その活動のプロセスの中で人権意識に涵養をアンケート調査等で検証した（比較対象のサービス・ラーニングとの検証を含む）。2019年度は、分析報告書の中で人権意識に課題があると考えられる児童生徒やクラスの改善として学習指導案の作成と授業実践をする予定である。現在、福岡県岡垣町教育委員会との協議で、2019年10月に小学校で九州共立大学の学生が授業実践することで話を進めている。

Strategy for Future Research Activity

2019年度においては、2018年度に作成した人権意識調査に基づく分析報告書をもとに、その改善に資する教材を開発し提供する。その際、人権意識の６つの視点（生命尊重、自己認識、協調協働、労働観、科学的認識、国際理解）に関して学習指導案及び資料等を作成する。また作成した学習指導案を活用して、実際に学生ボランティアが福岡県岡垣町の小学校で人権教育の授業実践をする予定である。以上の活動を通じて、人権教育の涵養に特化したサービス・ラーニングの学習効果の検証をさらに進めたい。