2021 Fiscal Year Research-status Report
J.デューイの科学の教育過程に関する心理学的・社会学的研究
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18K02303
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
梶原 郁郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30390016)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デューイ / 科学 / 教育過程 / 知識の転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、児童生徒が科学の知識を理解・活用する認識形成過程に焦点を当てて、J.デューイの科学の教育過程を心理的・社会的両側面において明らかにすることである。この課題に次の四つの視点から取り組む。(Ⅰ)デューイの科学の教育課程を教育過程(知識の獲得・活用を保障する教授学習過程)としてどうように分析するか、(Ⅱ)同過程を支える教師の教育内容研究はどのような過程を採るのか、(Ⅲ)同過程のどの局面に、デューイが提示する民主主義社会の成員の資質形成を読み取りうるのか、(Ⅳ)同過程を、デューイが批判しているロックの教育学説ではどのような点で保障できないのか。以上の作業を通して本研究は、デューイの科学の教育過程の心理的・社会的側面を描き出して、デューイ研究が教育過程研究として進められていない現状を打開して、新たな知見を提供する。 本研究4年目(2021年度)における成果は次の通りである。(1)「J.デューイにおける知識を社会化することの人間論的意味-教育理論を自らの経験として受容するための研究側の条件-」『山梨大学教育学部紀要』第32号、2022年2月、293-307頁、(2)「J.デューイの仕事occupationsから応用科学への学習過程-教育課程研究における教育過程研究の不在問題-」東北教育哲学教育史学会『教育思想』第49号、2022年3月31日、17-32頁、(3)「J.デューイの教育課程研究における教育過程研究の不在問題(Ⅱ)-環境制御能力の形成過程を描出するための前提-」『デューイ学会第64回研究大会・発表要旨収録』(京都女子大学:2021年9月26日)53-54頁。(1)(2)は上述の視点(Ⅰ)(Ⅱ)からの研究成果、(3)は上述の視点(Ⅲ)からの研究成果で、ロックの教育学説と環境制御能力形成の保障との関係を問う(Ⅳ)を見据えたものとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題は、児童生徒が科学の知識を理解・活用する認識形成過程に焦点を当てて、J.デューイの科学の教育過程を心理的・社会的両側面において明らかにすることである。この課題に、「研究実績の概要」の欄に記した四つの視点から取り組んできた。本研究4年目(2021年度)までにおいて上述の視点(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)からの研究成果を収めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2018~2021年度が研究年度であるが、コロナウィルスの影響によって2021年度の予算の未使用金額が生じたので、それは2022年度に執行する申請が許可された。2022年度では上述の視点(Ⅰ)からの研究をさらに掘り下げて、教育過程を分析する研究者側の要件を問う。これは、視点(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)からの研究を今後新たに深めるための基礎となるものである。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響による3月の資料収集出張と研究会中止のために、2021年度の予算の未使用金額が生じた(延長申請済)。未使用額については、2022年度に資料収集と研究出張に主に当てて、2022年度の研究計画を遂行する。
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Research Products
(3 results)