2020 Fiscal Year Research-status Report
Fundamental study on Kanbun textbooks used in Japan, Taiwan, Korea during pre war period
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18K02316
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
町 泉寿郎 二松學舍大學, 文学部, 教授 (40301733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 聡 玉川大学, リベラルアーツ学部, 教授 (80352722)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 漢文教科書 / 漢学者 / 内地 / 外地 / 台湾 / 朝鮮 / 文検 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の3年目を迎えた2020年度、戦前期における内地(日本国内)・台湾・朝鮮の漢文教科書に関して、次のとおりの研究成果を発表した。 内地の漢文教育のアウトラインに関して、『講座近代日本と漢学』[(戎光祥出版)の第4巻「漢学と学芸」(2020)において、町泉寿郎は「高等教育と漢学・漢文」、菊池隆雄は「昭和期戦前の漢文環境」、宮本雅也は「文検漢文科の研究」、平崎真右は「国語科と漢文科」をそれぞれ発表した。また、『講座近代日本と漢学』第5巻「漢学と教育」(2020)において、台湾の漢文教科書に関して、川邉雄大は「外地の「漢文」教科書について」を発表した。朝鮮の漢文教科書に関して、張三尼・町泉寿郎は「日韓併合後の漢文教育―諸教育令と教科書の内容から」、張三尼は「1894~1910、韓国漢文教育と日本一初学教科書を中心に一」(『二松』第34集、2020)を発表した。 また、漢文教育に携わった明治・大正・昭和期の漢学者に関して、加藤虎之亮の家伝資料を整理して、『加藤天淵関係資料目録(稿)』(2021)を刊行した。上記のように、個別課題に関する事例研究を積み重ね、また個別資料に関する基礎研究を進めた。 関連する研究として、19世紀の応酬における東洋学・日本学の創始者たち(シーボルト・ホフマン・ジュリアン・ロニーら)が編成した入門用教科書について調査し、その成果の一部を『レオン・ド・ロニーと19世紀欧州東洋学―旧蔵漢籍の目録と研究』(汲古書院、2021)発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度初めよりコロナ禍によって、資料調査と研究会などの活動が大幅に制限されてしまったため、当初予定していた最終年度の研究成果の取りまとめに支障を生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、研究期間の延長を申請することとした。この3年間に蓄積した基礎資料とそれに対する事例研究は決して少なくないので、延長した一年間においてこれらを総合して、これまでに蓄積した個別の研究成果をまとめ上げて、漢文教育という窓口から見た東アジア地域における教育・言語の近代化過程を俯瞰できるようにしたい。内地・外地(朝鮮・台湾)の教育がどのように連関していたのか、またそれぞれの文化伝統の相違や政治的社会的な要因などを背景に、それぞれ地域固有のどのような問題をはらんでいたのかを明らかにする。研究代表者・研究分担者・研究協力者の研究成果はほぼ共有化できたので、それらをもとに、研究代表者が中心となって、研究報告書の形にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、研究計画に大幅な変更を生じた。 延長することになった今年度は、研究成果の取りまとめのために、予算を当てることを計画している。
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Research Products
(2 results)