2020 Fiscal Year Research-status Report
デンマークの若者支援に見る生涯学習実践と行政および非営利セクターの協働構造の解明
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18K02317
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
坂口 緑 明治学院大学, 社会学部, 教授 (10339575)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生涯学習実践 / デンマーク / 行政とNPOの協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、デンマークでの現地調査ができなかったため、二つのことに注力した。第一に、行政とNPOとの協働の仕組みを明らかにするための、国内のNPOに対するヒアリングである。具体的には就労支援にあたる生涯学習関連の任意団体のほか、女性活躍に関連する諸団体へのヒアリングを進めた。その理由は、不妊治療関連、賃金格差の是正、女子学生のキャリア支援、成人女性のキャリア支援といった個別テーマを掲げて10年以上活動する諸団体から、行政との協働の方法とその限界について明らかにするためである。いくつかの団体は、国に対するロビー活動を実際に戦略的に展開するなかで、政策を実現するなどの動きも見られたが、必ずしもアドボカシーにつながらない領域で、世論を形成するための調査、公的な審議会への参加、意見の表明といった、活動の詳細を明らかにすることができた。これらの成果については、学術研究とならんで、ソーシャルアクションとして展開することが可能であることも明らかとなり、本研究と並行してプロボノを進めるNPO法人サービスグラントや、アカデミックジャーナルを発行するSYNODOSとのオンラインでの研究会を定期的に実施するに至っている。行政とNPOの協働という観点からは、具体的な政策を実現する提案をすることが目的とされることもあるものの、生涯学習実践の領域ではそれらを準備する活動を支援することも意味についてあらためて考察する必要があるとわかった。第二に、本研究に関連し、以前から企画されていた出版に関する研究会の継続である。デンマークの生涯学習社会に関する入門書の出版は予定より1年遅れているが2021年度内に入稿、出版が予定されている。またデンマーク近代思想に関するグルントヴィの入門書の翻訳についても、定期的な研究会を開催しており、2022年度の出版を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大のため、2020年度に予定していた国内外の出張がほぼかなわなかった。また、オンラインでの聞き取り調査に関してはNPOが柔軟に対応してもらえたのに対し、自治体に対する聞き取り調査が何もできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も国内外の出張はできないことを念頭に、研究計画を変更する。まずは、二つの出版企画に関する研究会に注力し、原稿の作成を進める。また、NPOと行政の協働という観点から、新規の調査は行わず、代表者が現在まで進めてきた若者支援や生涯学習支援の仕組みに関する調査をまとめることに注力する。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していたデンマークの自治体へのヒアリングに係る海外出張費を使うことができなかったため、2021年度に繰り越すこととした。2021年度は、文献調査、論文執筆、共著の刊行、翻訳作業の進行などを中心に進めるため、文献および論文の購入や書籍・論文の複写費等に活用する予定である。
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Research Products
(4 results)