2018 Fiscal Year Research-status Report
親権制度、福祉制度と教育制度の境界についての実証的歴史的研究
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18K02318
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
吉田 昌弘 淑徳大学, 教育学部, 教授 (80624915)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
・「家庭教育」論と親権制度史についての先行研究を精査した。 ・研究に必要な諸史料の収集を進め、分析に着手した。当面必要なもののほか、時代が早いものからなるべく先に収集を行っている。 ・研究計画調書作成時の予定にはなかったが、その後、自治体教育史編纂に関わる機会を得たので、その中で、本研究課題に関わる内容の研究を行い、記事を執筆した。経済的に窮迫している子どもたちへの就学普及のために設けられた東京市直営の「特殊小学校」が廃止・移管されたことについて、その背景に、大正15(1926)年頃までの約30年間における義務教育行財政の展開があることを述べた。「教育ノ整備」の観点から小学校の整備を求める文部省の方針について、社会の意識の実態との対比を行うことを通して、その歴史的意味を浮き彫りにした。(未刊行) ・研究課題に関連する図書について、依頼を受けて、書評を執筆、掲載した。とりあげた図書は、「教育事務」について、実効性の追求や文部省首脳たる個人の構想を重視しつつ、その形成過程を描くものである。その研究成果に対し、「教育」や「学校」について、政府組織の配置の中において文部省の管轄を統合する論理という側面を見て、展開をとらえる立場(本研究が採用する視点の一つ)を対置することを含めつつ、書評を行った。この書評の執筆過程において双方の立論について理解を深めることができた。また、書評に対する著者からの応答もあり、そのやりとりにおいて、それぞれの方法的立場がより明確に示されることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に記載した分析については予定より進度が遅くなった。その一方、依頼を受けて、計画にはなかった、本研究課題に関連する書評記事の執筆を行い、また、自治体教育史に関わる機会を得たので、その事業の中で本研究課題に関わる研究を行い記事を執筆した。 また、史料の収集に着手し、進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
当面、当初の計画に沿って事業を進める。 ただし、新たに自治体教育史の編纂に関わることになったので、その中において本研究課題についての研究の一部を進めることも視野に入れて、研究内容を検討しながら事業を進行してゆきたい。 また、所属機関変更により研究拠点が替わり文献収集に必要な旅費が減少すると見込まれるので、研究者の招へいを行うことについて検討し、本研究を含めたそれぞれの研究の協同を進めることも考えたい。
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Causes of Carryover |
申請時点では東京に行って行う文献調査等にかかる旅費の支出を計上していた。所属機関変更により研究拠点が東京近郊に移転し、さらに近距離の出張手続きが煩雑なこともあり、旅費の使用額がなくなった。今後、研究者の招聘などを行う際の費用として使用することを考えている。 また、資料撮影・処理用の機材などの整備はこれから本格的に行いたい。
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