授業における教師の道徳的判断に関する実態調査に基づく実証的研究

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K02330
• Research Institution: University of Toyama
• Principal Investigator: 増田 美奈 富山大学, 人間発達科学部, 講師 (80736885)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 教師教育 / 授業研究 / 教師の判断 / 道徳的判断 / 教職の専門性 / 協同的な学び / 探究的な学び

Outline of Annual Research Achievements

平成30年度は，協同的で探究的な授業における教師の道徳的判断の特徴を明らかにするための理論を整理し，理論的枠組みを構築するための作業として，以下の三点を中心に研究を進めた。
一点目は，協同的で探究的な授業における教師の在り方やその成立要因，子どもたちの学習への影響についての研究を整理，検討し，その成果を地域の教師たちによる研修会で報告した。（「主体的・対話的で深い学びとは～子どもの学びの姿から，共に考える」富山大学人間発達科学部附属特別支援学校 平成30年度公開研修会講演，8/10，富山大学人間発達科学部附属特別支援学校／「主体的で対話的な学びの場の創造」魚津市小学校教育研究会研究大会講演，1/21，新川学びの森 天神山交流館）
二点目は，授業における教師の道徳的判断の特徴について実証的に明らかにするための理論的枠組の重要な要素となる三つの研究，①授業における教師の道徳的知覚に関する研究，②教師の実践的推論に関する研究，③教師のナラティブに関する研究の理論の検討を進めた。検討の成果については，現在，研究論文として執筆中である。
三点目は，研究対象予定校の校内研修会への複数回にわたる参加である。長期にわたる研究対象予定校での実態調査を予定しているため，次年度以降も校内研修会への参加を継続したい。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度である平成30年度は，授業における教師の道徳的判断に関する理論的枠組みを精査，再構築し，分析のための観点を析出することを目的としていた。その目的に沿って，文献等の収集と検討を続けてきたため，おおむね順調と考えている。
しかし，その成果を講演等で報告できたものの，現在はまだ検討の途中であり研究論文も執筆中であるため，次年度の課題としたい。

Strategy for Future Research Activity

本研究の目的は，協同的で探究的な授業において機能する教師の道徳的判断の特徴について，実態調査に基づく事例分析を通して実証的に解明することである。
平成31年度（令和元年度）も引き続き，事例分析のための理論的枠組の再構築を目指す。
同時に，研究対象校との調整を行い，実際に対象校へのフィールドワークと教師へのインタビュー調査の実施を開始することで，より精緻に授業中の教師の道徳的判断の特徴を捉えるための理論研究を推進したい。
さらに，その成果を学会発表や研究論文として発表することを目指す。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由は，予定していた学会への不参加による参加費の未使用，また，研究関連書籍費の一部未使用である。
次年度は，今年度参加できなかった学会に参加し，研究関連書籍をさらに購入する計画である。