2021 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブな社会を実現する学校の原理と構造に関する研究
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18K02333
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
福田 敦志 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10325136)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インクルージョン / ドイツ・ブレーメン州 / ケア / 自治 / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インクルーシブを鍵概念とした先駆的な実践を展開しているドイツ・ブレーメン州における研究および実践動向に着目しながら、インクルーシブな社会を実現する学校教育の原理と構造を明らかにすることである。 2020年度に行ったブレーメン州の教育改革に関する歴史的および政治経済的経緯及び教育制度改革の進捗状況の明確化に関する研究成果のひとつである、2008年~2018年におけるブレーメン州の学校改革に関する第三者評価の報告書および、2018年~2028年のブレーメン州の学校改革に関するコンセンサスを分析することを通して浮かび上がってきた、インクルーシブな社会を実現する学校教育におけるICTの可能性と課題の解明に焦点を当てて研究を行ってきた。 ここでは、ドイツにおける常設各州文部大臣会議(KMK)が提起したICTを通した学校改革の提起の内実を分析しつつ、その提起をブレーメン州は如何に受けとめ、如何に政策的かつ実践的に展開しようとしてきているのかを明らかにした。その際、ICTは単なる学びのための道具ではなく、子どもの権利行使を支える手段として位置づけ、ICTを通して子どもの意見表明を励ます方向で実践を展開しようとしていることが明らかになった。このことは、ブレーメン州におけるインクルーシブ教育を理論的かつ実践的に主導しているRoland zu Bremen Oberschule(ローランド上級学校)では、全校生徒に配布されたiPadを通して短い「映画」を制作することを通して、想像と創造の両面において共同し、協働する学びの在り方が模索されつつあることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍における情勢に鑑み、2021年度も引き続き海外渡航を自粛したため、研究協力校であるRoland zu Bremen Oberschuleでの実地調査を行うことができなかったため。 予定していたこの実地調査は、当該校の卒業生たちによる地域社会への参加の在り様と学校づくりとの関連を調査することを目的としたものであり、本研究における最重要課題のひとつである。この課題に関する研究の進展が不十分なままであり、「やや遅れている」と評価せざるを得ない状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍をめぐる情勢の推移次第であることは否めないが、研究協力校であるRoland zu Bremen Oberschuleでの実地調査の可能性を種々の観点から検討していく。 また、2021年度までの研究において明らかにすることができたインクルーシブな学校づくりを展開するための論点を手がかりにしながら、インクルーシブな学校論および学校づくり論について、理論的な提起を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による情勢に鑑み、予定していたドイツ・ブレーメン州での実地調査を自粛したため、次年度使用額が生じることとなった。研究期間の延長をお認めいただいたので、2022年度において実地調査の可能性を追求するとともに、研究成果をインクルーシブな学校づくりに関するハンドブックの作成を行う予定である。
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Research Products
(3 results)