2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K02338
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
廣瀬 真琴 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (70530913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 久佳 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (00413287)
木原 俊行 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (40231287)
矢野 裕俊 武庫川女子大学, 教育学部, 教授 (80182393)
宮橋 小百合 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (80461375)
深見 俊崇 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (80510502)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 専門的な学習共同体 / 授業研究 / Instructional Rounds / 学校間連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研では、「専門的な学習共同体」(Professional Learning Community,以下,PLCと表記)のネットワーク化に関する理論及び実践的研究を展開している。本年度は、専門的な学習共同体のネットワーク化を図るInstructional Rounds in Education(以下、IRの)鹿児島県や和歌山県においてIRの試行を行い、参加者からデータを収集し、IRの我が国への導入可能性と課題について主に分析した。本年度の成果としては、以下の2点が挙げられる。 1.IRの仕組みによって、教師歴を超えて、参加者の学び創出されていることを明らかにすることができた。 2.重要となるIRの仕組みを踏まえた学校間連携型の授業研究ハンドブックのプロトタイプを開発することができた。 学校間で関連性の高い実践上の課題という結び目を設けることにより,各学校の構成員間での学びや,課題に関連する知恵の創出とその還流が生起し,方向づけられ,促進されることが示唆された。また,学校間で共通した手続きの明確な授業分析方法を採用することが,教師間での学びを,時にキャリアを超えて架橋することに資することが示唆された。こうした結び目を複数の学校間で集約する機能を果たすInstructional Roundsにおける学区の共通課題を設定することが,各学校や日本の教師の学びにどのような影響を与えるかについて明らかにすることが,今後の課題である。次に、研究の意義や重要性であるが、IRの導入によって、我が国の多様な教職歴の教師たちにも、学校間で教授-学習に関する専門的な学びを促進することができたことは、意義がある。人口減少社会を見据えた教師の学びをめぐる学校間連携の基礎的な研究知見として、本研究の成果を位置付けられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究活動が順調に進んだこともあり、関係者の協力が得られ、今年度は当初計画よりも多く試行を重ねることができた。昨年度から継続的に試行に参加している協力者を抽出し、IRの導入可能性に関する追跡調査を行うことができた。 その反面、年度末の研究会や訪問調査などは、新型コロナの余波を受けて実施することがかなわず、個別に協力者と連絡を取り合うことで代替措置とした。訪問調査については、次年度の研究の推進方策において、代案を示す。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度までの研究成果を踏まえて作成した学校間連携型の授業研究ハンドブックのプロトタイプを利用し、その評価と改善を図る段階に入る。 しかし、新型コロナウイルスの蔓延により試行調査や事例収集(訪問調査)が計画通り実施できない可能性がある。その際は、昨年度までの試行調査において研究計画当初よりも十分な回数を重ねてきているため、まずは過去2年間の成果をまとめることを優先する。また、試行ではなく、インタビューやアンケート調査といった別の手法によるハンドブックの評価及び改善を代案として構想しておく。
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Causes of Carryover |
研究会の開催が困難となったため別途手段を講じた分、旅費等に影響が生じた。次年度も社会状況を踏まえて、状況に応じてアンケートや電話インタビューといった調査手法を講じる予定であり、次年度使用金をそれらの調査に用いることを検討している。
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