2018 Fiscal Year Research-status Report
「演じる行為」に着目した介護の実践価値生成と共有化-職場学習論に基づく分析-
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18K02340
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
田中 眞希 高知県立大学, 社会福祉学部, 助教 (60368850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 妙子 高知県立大学, 社会福祉学部, 助教 (50783007)
宮上 多加子 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (90259656)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 演じる行為 / 職場学習論 / 介護福祉 / 実践価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の概要について、本研究の目的は、施設介護職員が利用者に対して、介護職員の本来の職務や個性とは異なる「演じる行為」をすることによって、利用者との関係を築くプロセスと介護職員の認識の変化を明らかにする。さらに、「演じる行為」によって構築された介護職員と利用者の関係を手掛かりとして、現場で共有される「実践価値」の生成について、職場学習論に基づいて検討することである。これらの目的を達成するため、平成30年度は調査の準備とプレ調査及び障害者施設での調査を計画していた。施設介護職員へのインタビュー調査を実施し、「演じる行為」への認識や実態を把握することが必要であるため、研究協力者や研究分担者と打ち合わせを行い、調査の準備を行った。具体的には、打合せ等にてインタビュー対象者の条件や質問内容を検討し調査の準備を行い、調査の実施前に高知県立大学研究倫理委員会に申請し承認された。その後、障害者施設2か所にて、9名の介護職員にインタビュー調査を実施した。 インタビュー調査の結果は分析中であり、今後もインタビュー調査を実施し、調査対象者数及びデータを増やす予定である。現段階での結果として、「演じる行為」そのものの認識が一人ひとり異なるため、「演じる行為」に至った経緯やその背景についてより具体的に聞き出す必要性を感じている。また、「演じる行為」そのものが、田村(2018)のいう感情管理技術・方法の表層演技ではなく、深層演技であると考えられるため、初対面の研究者に語ることに抵抗を感じている可能性がある。これらのことから、調査対象者の許可・協力を得て、一人の調査対象者に対してインタビュー調査を数回実施するなど、工夫したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の現在までの進捗状況は、おおむね計画通りである。本研究の目的を達成するため、平成30年度は、調査の準備とプレ調査及び障害者施設での調査を計画していた。計画通り進めるために、研究分担者及び研究協力者と打ち合わせを実施し、意見を聴取しながら進めた。具体的には、打合せ等にてインタビュー対象者の条件や質問内容を検討し、調査の準備を行った。なお、調査実施前には、高知県立大学研究倫理委員会に申請し承認された。また、調査をある程度終えた段階で結果を分析し、研究分担者及び研究協力者と打ち合わせを行い、分析した結果をもとに質問内容や質問方法の再検討を行った。打合せ等の結果、調査対象者の語りやすい質問内容を工夫し、インタビュー調査を実施した。 これらの結果、平成30年度は障害者施設2か所にて、9名の介護職員にインタビュー調査を実施することができた。現在は調査結果の分析と、障害者施設でのインタビュー調査を継続して行っている。そのため、本研究はおおむね計画通り進められていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に実施したインタビュー調査の結果は分析中であり、今後もインタビュー調査を実施し、調査対象者数及びデータを増やす予定である。現段階での結果として、「演じる行為」そのものの認識が一人ひとり異なるため、「演じる行為」に至った経緯やその背景について具体性に欠けている。また、「演じる行為」を初対面の研究者に語ることに抵抗を感じている可能性が考えられる。これらのことから、調査対象者の許可・協力を得て、一人の調査対象者に対して数回のインタビュー調査を実施するなど、工夫して調査を行いたいと考えている。 また、高齢者施設での調査に向けて準備を進めるためにも、障害者施設での調査結果の分析を進める必要がある。平成31年度は、障害者施設での調査結果のまとめと、高齢者施設での調査準備と、前年度より行うべきことが幅広くなり、計画的に進めることが難しいとが予測できる。そのため、研究分担者及び研究協力者との連携や相談をこまめに行い、研究を進めたいと考えている。また、障害者施設で行った調査での反省点であったように、高齢者施設での調査においても、「演じる行為」に至った経緯やその背景について具体性に欠ける、初対面の研究者に語ることに抵抗を感じる可能性が考えられる。調査対象者が語りやすい質問やインタビュー調査を数回実施するなど工夫して調査を実施したい。そのためにも、調査結果の分析は、ある程度調査を行った段階で分析を行うなど、早めに行うことが大切だと考えている。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の旅費について、当初計画より少ない金額で実施できたため、次年度使用額が生じた。
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