2021 Fiscal Year Research-status Report
窒息事故軽減に向けた児童の食行動調査と指導計画の開発
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18K02342
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
平田 文 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (30582077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴本 勇 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (30458418)
佐藤 豊展 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 准教授 (80758699)
落合 勇人 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (90757048) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 給食 / 窒息 / アンケート調査 / 嚥下機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
給食時の窒息事故を未然に防ぎ安全な教育環境を提供する目的で、小学校教員に対して学校給食時の窒息リスクに関する認識および実態調査を行った。 A市教育委員会の協力を得て、A県A市の公立小学校全19校学級担任教員192名にアンケート調査を送付した。アンケートの内容は、1)給食に関する実態調査、2)給食時に注意していること、3)窒息リスク児童として注意している特徴を調査した。回答方法は、選択肢および自由記載とした。アンケート実施期間は2021年2月に実施し、結果の集計および結果の公表を2021年度(第45回日本嚥下医学会にて発表)に実施した。 アンケート調査の結果、回答を得られた教員数は128名(回収率66.6%)。配膳時間を除く給食時間は21.7±4.2分、担任した児童で窒息リスクを感じたことがあると回答した者は8名(6.3%)だった。さらに、教員の60%以上が給食時に常に注意している項目は、残さず食べているか、食べる姿勢は悪くないか、アレルギー物質が含まれていないかだった。窒息リスク児童には特徴があると回答した者は33名(25.7%)だった。児童の特徴として挙げられた項目は、発達障害の要素がある、注意集中ができない、運動発達に遅れがあるだった。特徴があると回答した者と教育年数には相関関係を認めず(ρ=0.378)、窒息リスクがある児童を担任した経験と有意な相関関係(ρ=0.001)を認めた。 本調査より、小学校教員が給食時に着目している項目は、摂食方法よりも栄養面の偏りや食事のマナーに関する項目が多かった。また、窒息リスクの認識は、教育年数ではなく、教員個人の経験が影響していた。教育と医療の視点を融合させ、窒息事故防止への取り組みが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度よりCOVID-19による感染拡大により教育現場での調査研究に大変難渋している。特に、小学校での感染拡大が広がったことにより小学校教諭の負担は大きく、アンケート調査の実施調整に時間を要している。また、小学校での給食自体がコロナ感染拡大防止のため黙食を実施している。こうした学校給食を取り巻く環境が著しく変動しているため、研究計画の一部変更を余儀なくされている。このため、研究の進捗状況としては「やや遅れている」状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
1年間の延長申請を行い、2022年度で研究を終了させる。具体的には、他県の教育委員会の協力を得て2021年2月にA市で実施したアンケートを他地域で実施し、他覚的な側面で教育現場における給食窒息事故に関する認識を明らかにする。また、小学校の夏季休暇時などにボランティア小学生を対象に、食事摂取時の嚥下動態計測を行う。 上記の調査・計測の後に、窒息事故軽減に向けた「窒息リスクスクリーニングシート」を作成する。
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Causes of Carryover |
2021年度は小学生を対象とした嚥下動態計測が行えなかったため、人件費及び計測に関わる物品費の使用が無かった。また、国内外の学会がオンライン開催になり旅費等が発生しなかった点や共同研究者との研究会議などをオンラインで行った。 2022度は研究の最終年度であるため、小学生を対象とした嚥下動態計測の実施や共同研究者と直接対面で研究会議を行うこと、研究成果の発表等に助成金を使用する計画である。
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