2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Childcare and Educational Environments Encouraging Young Children's Spatial Reasoning
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18K02344
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
渡辺 敏 実践女子大学, 生活科学部, 准教授 (90739559)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 幼児教育 / 導く遊び / 図形教育 / 幼小連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの幼児の立体遊びの観察から、特に5歳児は三角形を円周の形につないで駒を作成し、回して遊んだり、高さのある立体を工夫して作ったりする姿が見られた。また、これらの遊びの取り組みは個人差も大きいことが分かった。この実態を活かして2020年2月に5歳児18名を対象に「導く遊び」を3回実施した。幼児の主体性を活かすために前回の学びの様子を画像で写したものを見て話し合う活動を2,3回目の保育の初めに行った。そこで形の特徴や、そのあとの構成の時間に何を作ってみたいかを話し合った。 2020年度の4月から3回の保育について録画したビデオをもとに分析を行った。1回目の保育では18名中、13名が様々な種類の柱体を構成していたことが分かった。 2回目の保育を分析すると、駒づくりをする幼児と、五角形と六角形を使って球体を作る幼児の姿が見られた。 3回目の保育の初めにこの2つの構成についても紹介したためか、幼児はこの2つの活動に積極的に参加する姿が見られた。これまで球体づくりをしてこなかった幼児も友達と協力することで構成活動に積極的に参加できたことが分かった。 3回目の保育の初めの話し合いでは様々な色のパターンを持った駒の写真を比べ、色のパターンについて話し合った。この話し合いの様子を分析したところ幼児は色の並びのパターンを見いだせることが分かった。このような学びは小学校の算数の色板での模様づくりにつながる活動である。また、球体とほかの立体を比べる話し合いも行った。これは構成で用いている平面図形の違いに気づかせるために行った活動である。幼児は構成され出来上がった球体や立方体の形状の違いには気が付くが、構成している平面図形の違いに気づくことはできないことが分かった。これらの分析結果を2020年度に論文としてまとめ日本数学教育学会に投稿、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では保育園、幼稚園での立体遊びの指導から小学校につながる保育活動を明らかにすることである。2020年度は保育園、幼稚園の立ち入りがかなわず参観の機会が持てなかった。そのため新たな保育活動の相談の機会が持てなかったため研究が計画した内容からやや遅れている。2021年度は幼稚園での立体遊びを計画実施したいと考えているが、コロナの影響もあり、研究協力してくださる幼稚園があるかどうか未定の状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
保育所の「導く遊び」の中で、幼児と、画像を用いた話し合いは教師のねらいと幼児の主体性の2つを活かすことに有効であることが分かった。残された幼稚園での研究保育では幼稚園教諭と画像を用いて幼児の学びを確認しながら保育活動を構成する実践を行う予定である。なお、新型コロナウイルス感染症の影響により研究協力をいただく幼稚園の選定及び調整に苦慮している状況であるが、感染拡大の状況をみながら安全に観察が実施できるよう研究協力者と調整を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果発表を予定していた学会が開催されなかったため旅費を使用できなかった。次年度は引き続き知見を深めるために学会へ参加する費用に充てる。 また、幼稚園での幼児の幾何学玩具遊びの観察のためにポリドロンを購入予定である。
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