2019 Fiscal Year Research-status Report
Inquiring curriculum open innovation in secondary education that emerges by transboundary co-creation
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18K02345
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
緩利 誠 昭和女子大学, 総合教育センター, 准教授 (80509406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 幸子 昭和女子大学, 総合教育センター, 准教授 (10572191)
中井 大介 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (20550643)
安藤 福光 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (40508545)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会に開かれた教育課程 / 教科横断カリキュラム / 探究的な学び / 共創する学び / 学校組織開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度も、分析チームと介入チームを組織し、研究代表者である緩利誠(昭和女子大学)による統括のもと、両チームが協働しながら研究を進めた。介入チームに関しては、研究協力校のネットワークを拡大し、各校との協働を通じて、複数回にわたる試行実践を展開することで、作業課題を遂行した。 まず分析チームは、本研究が掲げる鍵概念である「越境による共創」の仮説的な分析枠組に基づき実施した予備調査(対象:高等学校教諭、サンプル数:700名)の結果を多角的・多面的に分析した。先行研究とも関連づけながら考察し、学校現場のリアリティを描き出すとともに、「制約のなかのクリエイティビティ」など、新たな研究の視点や仮説を見出すことに成功した。 次いで介入チームは、文化・社会的活動理論を援用したポジティブ・アプローチによる仮説的な介入枠組に基づき、研究協力校における「社会に開かれた教科横断的で探究的な学び」の継続的・本格的な企画を立案し、実験的な実践を展開した。そこで得られた成果と課題の分析を通じて、「共創する学び」という新たなコンセプトを創発し、カリキュラム・オープンイノベーションの実現可能性に関する考察に着手した。 また、分析チームが中心となり、先進校事例分析の一環として、フィンランドにおける「Multidisciplinary Learning(Phenomenon-based Learning)」を中心とするカリキュラムイノベーションに向けた挑戦とそれを効果的に進める学校組織開発や教師の職能開発支援に関する実際と今後の展望を探索的に把握・理解した。その調査を通じて、本研究課題が構築しつつあるカリキュラムモデルの国際的通用性も確認することができた。 各チームの成果は国内の学会で発表し、研究紀要等でも報告した。その他にも研修会や講演会等の場において、研究成果の社会還元を積極的に図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画調書で予定していた通り、おおむね順調に進んでいる。必要な資料やデータ等は着実に収集できているが、その分析・考察に予想以上の労力と時間を要しているため、より効率的・効果的な方法を考えていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度以降も引き続き、同じ組織体制で研究開発を遂行していく。令和二年度の予定は次の通りである。 分析チームは、①高等学校教諭を対象とする質問紙を用いた予備調査(サンプル数:700名)のさらなる結果分析・考察、②本調査の企画・実施、③日本とフィンランドにおける先進事例校の比較分析・考察、を遂行する。すでに必要な資料やデータ等は一定程度揃っているため、令和二年度は分析と考察に労力と時間をかける予定である。他方、介入チームは、①研究協力校における継続的かつ複数回にわたる「社会に開かれた教科横断的で探究的な学び」の協働開発に加えて、②「越境による共創」プロセスの自校化をサポートするツールの開発、③「共創する学び」というコンセプトの理論化、を遂行する。両チームの成果は、国内外の学会で発表し、学術雑誌に投稿する。あわせて、各種教員研修の機会提供も試みる予定である。 ただし、今回のコロナ禍の影響により、本研究課題の遂行にも様々な影響がすでに出始めているため、状況に応じて、柔軟に対応していく必要がある。例えば、分析チームが予定している質問紙を用いた本調査を実施するにしても、いつもとは異なるバイアスがかかることなどが予想されるため、調査デザインの工夫を試みる。また、介入チームに関しても、研究協力校自体がイレギュラー対応を迫られ続けており、当初予定通りの進め方は断念せざるを得ない。ICTを利活用し、オンラインとのハイブリッド化を視野に入れて試行実践を可能な範囲で展開しつつ、理論構築やツール開発などの作業課題を一部前倒しして実施していくようにする。 令和三年度に関しては、令和二年度の進捗次第ではあるが、両研究チームの成果を統合し、「越境による共創」プロセスを学校の内側から創出することをサポートするプログラムやツールを完成させ、広く提供できる仕組みを構築する。
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Causes of Carryover |
本研究課題で定めた作業課題のうち、中学校・高等学校教諭を対象とする質問紙を用いた本調査の実施・分析、ならびに、「越境による共創」プロセスを学校の内側から創出することをサポートするプログラムやツールの開発にあたり、当初予定よりも経費が必要になることが判明したため、支出を一部抑えた。 また、兵庫教育大学における令和元年度の出張旅費の支払いが令和二年度になってしまったため、システムの都合上、反映されていない執行済みの使用額(288,770円)がある。
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Research Products
(9 results)