2018 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive multi-dimensional study on citizenship education in Indonesia
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18K02367
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中矢 礼美 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (70335694)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国際教育 / グローバルシティズンシップ / 社会貢献意識 / 地域愛着 / 自己効力観 / 国際バカロレア |
Outline of Annual Research Achievements |
1.インドネシアの高等学校教育の国際化について、教育政策および教育課程の歴史的変遷を明らかにした。独立期からナショナルアイデンティティの醸成が第一であり続けており、教育の国際水準化は志向しているものの、国際バカロレアなどの国際教育課程は付加的に認める範囲に留まっている。 2.前年度に実施していたジャカルタおよびジョグジャカルタでの国際教育実施高校に在籍する生徒および保護者へのインタビューより、今年度は国家アイデンティティや地域アイデンティティについては、愛着はあるものの貢献意識や貢献できるという自己効力観は低いことを分析した。 3.また2018年度に実施したマルク州アンボン市の高等学校での調査では、宗教教育や公民教育の授業観察、生徒へのインタビューからは、グローバルシチズンシップの理解が表層的であること、華人系生徒は地域愛着や貢献意識が低いが、アンボン人生徒はそれらが高いことが分かった。ただし労働市場の問題から地域に住み続ける意志は弱いことがわかった。ローカル・ナショナル・グローバルコミュニティへのメンバーシップのバランスは、地域の政治経済状況に大きく左右されることが明らかになった。 4.大学レベルにおけるシティズンシップ教育あるいは学生のシチズンシップの様相に関する調査として、東ジャワ州とマルク州の国立大学各1校において8人づつ、社会実践教育(Kuliah Kerja Nyata)に関するインタビューを行った。学生の学びとしては、地域開発の課題発見と解決に向けた試行錯誤や挫折の中で、市民、国民としての資質能力を向上させていることがわかった。また、宗教抗争を経験したマルク州の大学生は、異教徒の学生との長期にわたる協働が貴重な経験となり、地域によって異なる必要なシティズンシップ形成が行われていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査については順調に進んでいるが、当初予想していた地域科カリキュラムの各学校での取り組みが思ったほど進んでおらず、その点で研究計画の見直しが必要な状況となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
地域科カリキュラムを積極的に実施している学校を探すことに力を入れるよりは、多くの学校での多次元のシティズンシップ教育状況を明らかにすることとする。 ICT活用が多くなり、カリキュラムや教科書の利用が以前より教師によっては異なっていることが多いことも予想される。そのため授業観察や教員へのインタビューを増やす必要がある。 昨年度実施したマルク州での授業観察、アンケート調査、生徒へのインタビューについて分析を進め、それをもとにアンケート調査は比較検討ができる範囲で修正を行う。その後、西カリマンタン州にて同様の調査を実施する。
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Causes of Carryover |
旅費や諸経費では調整できない程度の非常に小額の予算が残っているだけなので、次年度の旅費で使用することとする。
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Research Products
(5 results)