2019 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive multi-dimensional study on citizenship education in Indonesia
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18K02367
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中矢 礼美 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (70335694)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シティズンシップ教育 / グローバル / ナショナル / ローカル / カリキュラム / 高等学校 / 大学のサービス・ラーニング / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシアの大学におけるシティズンシップ教育としてサービスラーニング(KKN)に注目し、その特徴に関する研究成果を論文としてまとめた。このKKNという教育プログラムは、異分野の学生が集団である農村に1,2か月住み込み、地域調査を踏まえて農村開発に必要な計画を立て、活動を行うというのが一般的なプログラムである。歴史的には、独立後は独立・建国精神の醸成と地方での建国に向けた貢献、その後は開発・統一精神の涵養、2000年に入る頃から地方の主体性強化、民主的精神の涵養へと目的と活動が変遷し、現在は持続可能な地域開発を目指したシティズンシップを獲得していることを明らかにした。 また、日本を参照軸としながら、インドネシアのシティズンシップ教育の歴史的変遷を比較制度研究としてまとめた。インドネシアは独立後のナショナルキャラクターとして、独立・建国精神、開発と統合、民主化と地方分権化を進める資質へと変化してきたが、グローバル化に対抗するため、近年は宗教的愛国心を強調して育み、国際化や地域化に向けたシティズンシップ教育にはあまり積極的ではないことを明らかにした。 さらに、日本とインドネシアのシティズンシップ教育への国際化の影響を当事者の視点からまとめた。インドネシアでは教育の国際化がバカロレアやGAPやケンブリッジカリキュラムの導入によって一部急速に広がりつつあるが、当事者である生徒やその保護者は、グローバルシティズンとしての意識は高まるものの、国内での生きづらさに不満と不安を抱えていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果が、国際ジャーナルに2本掲載され、国内雑誌にも特集論文として掲載することができ、また調査も予定より多くの地域(ジャカルタ、ジョグジャジャカルタ特別州、西カリマンタン州)においてフィールドワークを行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年は、コロナの影響で現地調査も学会発表も難しいため、これまでに集めたデータ分析と論文執筆・投稿を集中して取り組む。年度内に調査や学会発表が可能な状況になり次第、不足しているデータのフォローアップと学会発表を行う。
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Causes of Carryover |
学生アルバイトがコロナの影響で急遽できなくなったため。7172円の次年度使用額が生じた。令和二年度の予算に合わせ、英文校閲に使用する。
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