2018 Fiscal Year Research-status Report
地域を活かし 人が育つ 学校改善ー地域貢献を目指す教職大学院の実践研究ー
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18K02368
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 葉子 愛媛大学, 教育学研究科, 特命教員(教授) (40782587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
露口 健司 愛媛大学, 教育学研究科, 教授 (70312139)
小田 哲志 愛媛大学, 教育学部, 教授 (00756843)
城戸 茂 愛媛大学, 教育学研究科, 教授 (00591091)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域活性化 / 地域コミュニティ / 教員の職能成長 / 学校組織文化 / 教員のコミュニティ / 学校改善 / 教職大学院の地域貢献 / 行政との連携・協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究活動としては、研究全体構想を確定し、調査対象地域の設定及び事前調査を基にした追跡調査の結果分析・考察により、本研究課題の見直し及び具体的開発実践の内容をまとめることであった。 現時点では、調査対象の2地域における地域住民調査(教員との交流・学校理解・地位住民のコミュニティ)及び教職員調査(学校組織文化・職能成長・地域との連携協働)の分析・考察から、教員の意識改革とキャリアに応じた職能成長、地域住民との具体的な連携・協働活動の促進等の課題が明らかになってきた。 そこで、対象地域1では、地域住民への調査結果報告を行うとともに、ヒヤリングにより学校への要望や地域活性化についての意見聴取を実施した。また、当該市町行政との連携により、当該校において、教職大学院院生及び学部生による地域連携実習、教員との交流を含めた教員養成のための連携事業を行い、地域貢献につながった。2年間の実績として、学生への効果検証、児童生徒の効果検証によると、成果が見られた。さらに、教員の意識改革や職能成長のために、校内でカリキュラム・マネジメント研修を行い、次期学習指導要領への移行に備える実践を行った。学生との交流活動も行うなど、新たな取組も取り入れた。 また、対象地域2では、市町行政及び管理職研修会において、調査結果のフィードバックと併せて、課題解決のための具体的改善策として、教員研修プログラムの提案を行うなどの学校支援を実施することができた。本地域では、学校の統廃合が進み、小規模校における若手教員の職能成長とベテラン教員のリーダーシップが課題となっており、今後は教員コミュニティの創出による学校組織文化の構築が必要となっている。 以上、地域活性化につながる要因として、一人一人の教員の職能成長が挙げられること、教員研修プログラムの提案の必要性が明らかになってきたことに意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りの調査・分析及び結果の報告、改善方策の策定、具体的な学校支援、行政との連携・協働、教員研修プログラムの開発及び実施、教職大学院と行政の連携・協働等、進めることができている。また、調査結果に基づき、研究分担者との検討・協議も年2回行っており、適宜見通しをもって実践研究している。その実践状況を、1年次の総括として学会発表するなど、第三者からの評価も受け、研究の軌道修正を行っている。予算執行状況については、教員研修プログラムの実施が、年度の後半となったため、次年度への繰り越しとなった部分もあるが、研究の方向性がまとまってきているので、継続する見通しである。今後は、地域活性化の指標の見直しと調査法の検討により、質的調査と量的調査の両面から地域活性化の実態を把握し、学校改善との関連性に焦点化していく。また、学校改善の要因が、教員一人一人の職能成長が重要であることが明らかになったことから、その向上に向けた学校支援を計画的にしなければならない。そこで、教員の職能成長を促す校内研修プログラムを新たに開発し、県内の学校現場において実践する見通しである。研修プログラムには、教員の育成指標を活用し、目標管理制度の効果的運用に組み込み、教員が自らの設定した目標を達成することを通して、職能成長を図ることを目指す。さらに、自己の職能成長を「教員キャリア・パスポート」として累積し、教員人生の記録として残し、定期的に省察することができるようにした。現時点では、この研修プログラムは、M市の初任者研修において、試験的に実施した段階である。今後は、M市教育研修センター及び県総合教育センターとの共同研究として効果検証し、学校規模に関わらず恒常的に実践・活用し、新学習指導要領の実施に向けた教員に求められる資質・能力の向上に資することを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
1年次においては、事前調査を含めて、2つの対象地域において経年比較調査を実施することができた。今後は、そこで明らかになった人口減少地域の学校改善課題が、第3地域における実態との比較により、地域活性化と教員の職能成長・学校組織文化・地域との連携・協働の関連性について明らかにしていく。そのために、以下の実践研究を行う。①第3地域における地域住民調査、小規模校教職員調査及び教員研修プログラムの実施②第1地域における地域住民及び教職員調査の継続(質的調査の追加)・経年比較、教職大学院の地域貢献活動による教員養成と学校支援、行政との連携協働事業の継続③第2地域における地域住民及び教職員調査の継続(抽出の質的調査)、管理職研修会の実施、若手教員の職能成長に向けた研修プログラムの実施 今後の展望として、対象地域を3地域に拡大し、教員の資質・能力の向上及び意識改革による学校改善が、地域住民の参画によりどのように変化し、地域住民の汎用的能力の向上につながるのか、その関連性を明かにする。また、コミュニティ・スクールの努力義務化に伴い、学校改善の源となる教員一人一人の職能成長が、地域資源を活用したカリキュラムマネジメントにおける地域資源の活用、地域との交流、地域住民との連携・協働の活性化との関連性について、学校規模との相関についても検証する。今後は、基礎調査に基づき、開発した研修プログラムを実践しながら、教職大学院の地域貢献を目指しつつ、教員のキヤリア発達を促すことで学校改善につなげたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度は、研究期間の初年度ということで、調査対象地域も2地域にとどまったことにより、調査に係る旅費、諸経費が当初の予定より少額となった。また、対象地域における研修開発プログラムの実施もまだ序盤という段階であり、実践に係る旅費、謝金等の諸経費が少額となった。翌年度は、対象地域の拡大に伴う諸経費が必要となるため、今年度の残額を翌年度に繰り越すことにより、使用可能となる。また、研究2年目は、研修開発プログラムの実践に力点を置き、そのことによる教員の職能成長の調査を複数校において実施し、分析を行っていく。また、地域活性化の指標を見直し、地域住民調査も量的と質的の併用により、教員の成長との関連性について、検証する。これまで、調査県下の分析は年1回であったが、必要に応じて年2回から3回実施し、学校改善に活かすサイクルを短縮できるよう調査研究を加速する。次年度は、採択時の予算額としての30万と繰越額を併せて有効に活用する。
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Research Products
(2 results)