2021 Fiscal Year Research-status Report
学生・教員・企業等の教育評価のズレを可視化するeポートフォリオシステムの構築
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18K02369
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
安部 恵祐 大分大学, IRセンター, 助教 (10535652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雄清 大分大学, IRセンター, 准教授 (00333253)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ルーブリック / イシュー / アクティブラーニング / ポートフォリオ / コンピテンシー / 産学官共創 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1フェーズ「教育評価」における複数評価者間のズレの傾向と、教員・企業評価者のズレ(学生への期待値)を観測するための試作ルーブリック開発を主目的に研究を実施した(研究1,3)。第2フェーズのeポートフォリオ運用は導入先システムの検討をした(研究2)。 研究1として、企業の要望(ニーズ)等からのルーブリック開発を試みている。コロナの影響やSDGsの観点を加え、前年度に続き、キャリアデータベース等より、「求める人材像」や「スキル・研修」の分析を行った。また、オンラインにて、九州圏内外企業等約40社に「コロナの影響」等新しい観点を加え、ヒアリング調査を行った。ある地区を対象にしたデータベース分析では、経年変化分析を行い、コロナ禍以降、「オンライン化・研修内容・雇用状態」等で「社員を守り育成する傾向」が示唆された。ヒアリング調査では、現場では、共通するスキルが求められておりつつ、業態・社内外活用・コロナ影響度合いで、活用の差が伺えた。また、動画調査等により、観測されたコンピテンシー要素をルーブリックへ変換する柔軟なツールを着想しモデル化を進めた。 研究2として、eポートフォリオの設計を試みている。現在、教育ツールとして、企業・教員で評価システムを用いて簡易なシステムが実行中である。現在、いくつかの課題と新規要望が見つかったため、オンラインで、企業・行政との共創の場形成もできる、簡易メタバース(2次元や無料の物)を附属したものが可能か構想している。 研究3として、現在までに評価ズレ観測で、①ズレはパーソナリティに依存、②ズレは評価者ユニット形成でも補正困難、という結果になった。ズレの要因には、ダイバーシティ浸透度の低い地域特有の「アンコンシャスバイアス」が存在し、時世適合の可視化ができると着想を得ていた。そのため、新コンセプトの授業を立ち上げ、複数の観点からズレ要因の検証を継続して行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナによる社会的な活動制限等の影響とシステム変化等影響により遅れている。 研究1のデータベース分析やヒアリング解析等の結果、ウィズ/アフターコロナへの対応しているスキル等が複数確認された。ヒアリングした企業は、コロナ禍でも成長している企業が多かったので、有効なスキルであると考えられる。ただ、コロナの影響により、ヒアリングのサンプル数や調査時間・機会等が減少した。 研究2のeポートフォリオ開発により、コロナ等の影響により周辺システムの様々な仕様が変更され、ペンディングしている。システム上の学外者との接点の作り方や個人情報の取り扱い等も課題になっている。 研究3として、2020年度に、ダイバーシティの「アンコンシャスバイアス」チェック等で補正可能の部分もあるかもしれないとの着想を得て、バイアスの強い地方では使えるシステムが作成できるかもしれないと構想した。後期に新規授業を立ち上げ、エッジの効いた展開を行い、ヒントとなる知見が得られたので、今後分析を行う。 その他要因:データベース・書籍分析等では、ワクチンの副作用か、やや遅延した。それに加え、図書は備品扱いのため、自由に線など引けず、付箋でカバーしている。また、希望者があると、公的財産として貸し出し協力をしている。時事系の図書のためか、割と貸し出し希望が多い印象である。このあたりの制限がなくなるともう少し研究速度が上がると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に2科目実装を行った。現在、分析・概念実証(PoC)に用いている科目では、市長へのプレゼンやCOC+事業S評価要素にもなるという成果を挙げている。官の課題が主になりつつあるので、産(企業)の課題の科目を追加した。また、協力者と共にITツールを用いたハイブリッドPBLを行い、新たな評価ズレ案件が確認されたので、今後分析で、通常PBLと相違があるか、改善できるかを検証する。 研究1のデータベース分析やヒアリング解析を行い、ウィズ/アフターコロナに即したコンピテンシーや新しい求める人材/人財像を更新する。また、人生100年時代の産学官連携リカレント教育等に使えないか検討する。 研究2のeポートフォリオ開発は、メタバース付きで学内のシステムに影響がでないものが構築できるか、開発企業等と打合せする。 研究3コロナによるグレートリセットにより本質志向が高まり、大学の存在が揺らいでいる。研究1の調査にて、大学の必要性も調査し、業態によっては、必須ではないとの意見は収集し、本質的に何が必要か等もある程度判明してきた。ウィルスの脅威度以外に、アップデートに不寛容な「文化温存度気質」で、非生産性行為を維持していると着想を得た。一方小手先のITツールはよく使えるが、成果に直結しないスリップ者も多くみられ、コンピテンシーレベル2.0止まりか、成果創出フェーズ未経験者かの調査が可能ならば行う。そのことで、ポートフォリオを介した「がんばっているのに成果がでない」という徒労ワーカーを抑制できる教育システム構想の一助を形成する。 初期構想として、大学内活用では終わらないシステム開発だったので、研究方針として問題ないと思われる。AIで各種キーワードは抽出できているので、「未来/産業界ニーズ」-「キーワード抽出」-「ルーブリック生成」-「ズレ可視化」の自動化ができるシステムの構想を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由と使用計画 eポートフォリオ導入先のシステムの選考を行っていたが、各種システムの変更や新規要望が得られ、練り直している。また、コロナの影響により、ヒアリング活動や対面での学会参加を抑えていたため、旅費等が余っている。そのため、研究延長を行った。 eポートフォリオ開発はコロナの影響やセキュリティ関係等で環境や利用条件が難しくなってはいるが、小規模用もしくはダミーデータにてPoCベースのものの開発を目指す。
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