2019 Fiscal Year Research-status Report
Inspection or Database Production of the Cultural Activities for Children at the Cultural Center "Asahi-Kaikan" and their Influence on the Social Education
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18K02377
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Research Institution | Naragakuen University |
Principal Investigator |
山本 美紀 奈良学園大学, 人間教育学部, 教授 (60570950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 志保 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 准教授 (10535173)
紙屋 牧子 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 研究員 (20571087)
高山 花子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教務補佐員 (40789070)
大森 雅子 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90749152)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 朝日会館 / 子供 / 芸術教育 / 雑誌 / 絵本 / 児童画 / 映画 / 音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1926年から1962年まで大阪の中之島にあった総合文化施設「朝日会館」における子供を対象とした文化活動について1.全容を解明・記録化し、2.社会教育への影響を検証することを目的とする。平成31(令和1)年度は、初年度(平成30年度)に引き続き、各分野で国内外の資料等閲覧・蒐集し、記録化を進めていった。特に昨年度は、様々な分野に広がる朝日会館の子供企画について、個々の分野での分析を行い、研究会で共有していった。それらには、①子供のための美術活動や、②ロシアの絵本、などがあり、戦前の豊かな子供文化を、朝日会館が牽引していく様子をうかがわせるものであった。 ①子供のための美術教育については、「アサヒカイカン・コドモの会」における児童が教育をとりあげ、特に山本鼎の自由画教育をはじめとする当時のいくつかの図画教育の流れとの比較分析をおこなった。それによると、「アサヒ・コドモの会」の児童画は、自由画教育を踏まえて写生を重視しており、かつ講師陣は現役の洋画家が中心で、小学生に油絵も教えるなど、学校の図画教育の枠組みには収まらない高度なものであったと推察される。また、講師陣は、中之島洋画研究所メンバー中心であるが、彼らや彼らの育成した画家には、大阪朝日新聞社で挿絵担当をしていた者たちがいたことがわかった。②ロシアの絵本については、『アサヒカイカン・コドモノ本』と周辺の児童文学との比較から『コドモノ本』に関わった人物たちが、プロレタリア文学やキリスト教に近い人々であったことがわかる。 これらの研究から、「コドモの本」が1935年を境にして童話や詩といった文芸物のスペースが少しずつ少なくなり、代わりに会の活動報告が大半を占めるようになったこと、5巻9号からは、今までの26-30頁から、16頁前後へといっきにページ数が減少し、発行の方針が変わったことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個々の分野での分析研究は進んでいるが、2020年度1月からのコロナ感染拡大の影響により、予定していた研究会が流れたり、図書館等資料へのアクセスが困難な状態たり、今後予定していた各種研究成果発表の機会の延期などといった状況が続いており、若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、記録化された各種資料について検討をさらに続け、研究総括を行う予定である。研究成果の公表として、記録化されたデータを他研究者が活用可能なように整え、公表を目指す。蒐集した資料展示なども考慮しながら、「子供文化」を媒介とした社会教育や、芸術文化活動についてのシンポジウムを国外からもシンポジストを招待して開催し、広く成果の共有に努めることにしている。しかしながら、現在のコロナ感染拡大の影響により、今年度秋以降のシンポジウムの開催について、どのような形で公開の機会を設けられるか、現在方法を模索中である。さらに、今年度も続けて資料収集と分析・記録化を進めるつもりでもあるため、この点においても、今後の社会情勢の中で、可能な限り遂行できるよう努めていく所存である。
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Causes of Carryover |
年度末にコロナウィルス感染が広がり、その影響で、予定していた研究会や資料収集、分析作業などが不可能となり、当該年度使用額が変わった。予定の研究活動は、今年度に繰り延べて行う予定である。
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Research Products
(11 results)