2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on standardized academic tests during the postwar educational reform period
Project/Area Number |
18K02378
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
松本 和寿 筑紫女学園大学, 人間科学部, 教授 (50613824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 標準学力検査 / 教育評価 / 戦後教育改革 / 指導要録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦後教育改革期(占領下~昭和26年版学習指導要領期)に展開された経験主義教育の「総合的」な学力観に基づく指導と、同じ時期、学力を「分析的」に測定するため多くの学校が実施した標準化された学力検査とを対象化することにより、「総合的」な学力観と「分析的」な評価観という一見矛盾する見方・考え方を、教育関係者がどう整理し受容したのか明らかにすることを目的とした。本研究が明らかにした知見のうち主要なものは次のとおりである。 【作成された標準検査の数】小見山栄一が「わが国で実施されているすべての標準検査の収録を意図」して1959(昭和34)年に出版した『教育 標準検査ハンドブック』によれば、1949(昭和24)年から1959(昭和34)年までの11年間に作られた標準検査は、学力検査が小学校、中学校、高等学校の3校種の各教科を合わせ465種類(71.6%)、知能検査(団体、個人)104種類(16.0%)、性格検査、職業適性検査などが80種類(12.3%)であり、合計649種類におよんだ。 【標準学力検査や知能検査の利用のされ方】標準学力検査や知能検査の結果は、1948(昭和23)年の「小学校学籍簿」と翌年の「累加記録摘要」に記入することとされた5段階相対評価が有する準拠する集団の人数や学力の質に影響を受けるという欠点を補い、その信頼度を高めるために利用された。 【総合的な学力観と分析的な評価の関係】教育現場は1951(昭和26)年頃までは総合的な学力観の下に児童生徒の態度を客観的に評価する努力をしたが、日常的な観察や面接、およびその記録と更新の継続的実施の困難、標準学力検査を含む客観テストで態度を評価する適切な方法が見いだせないことなどの理由から、学力観と評価の実際の間にズレが生じたままの状態で、系統主義教育へと転換する1955(昭和33)年の学習指導要領改訂を迎えることになった。
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