2019 Fiscal Year Research-status Report
アセアン諸国のOOSCYに対する国際教育支援ネットワークに関する研究
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18K02394
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
乾 美紀 (寺尾美紀) 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (10379224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻巣 崇世 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (00743775)
鴨川 明子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40386545)
中矢 礼美 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (70335694)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際機関 / 国際NGO / 教育のアクセス / 教育の質 / 国際支援ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、対象の各国でOOSCYとはどのようなグループの子どもたちか、またなぜ就学できていないのか、就学しても学校を辞めてしまう場合、その理由は何なのか、辞める理由をどのような方法で打開できたかについて明らかにすることであった。第二に、OOSCYの問題を解決するために、どのような支援ネットワークが形成されようとしているか明らかにすることであった。 令和元年度は、それぞれが現地調査の計画を立て、個別国の状況について文献調査およびインタビュー調査により情報収集を行うとともに、支援ネットワークに関してはまず国内連携(教育省と他の省)について整理をした。次に国際連携として、それぞれの調査地で国境を越えて展開するネットワークの意義や役割を検討した。具体的には以下の項目を検討した。 [支援パターン] 国際機関や国際NGOから地域NGOへの資金協力など。[協働パターン] 国際機関や政府行政機関とNGOへのプロジェクトの協力形成。[コミュニケーション] 国際機関や政府行政機関とNGOの協議や対話の頻度。[当事者の意識] 各支援機関当事者の支援、協働、対話に対する認識。 調査の結果、各国でOOSCYの数は徐々に減少してはいるが、無国籍児童、移住労働者の子どもなどが学校へのアクセスが限定されていることが明らかになった。またラオスやカンボジアなど教育予算が限定されている国では、障害のある子どもへの支援が不足していることも分かった。 全体として、国内だけではOOSCYの問題を解決できない問題が多いため、国際機関や国際NGOとの連携が今後ますます必要となると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれ研究分担者・連携研究者が積極的に現地調査に出向き、現地の協力者の協力を得ながら調査を進めることができた。それぞれが、担当国にフィールドを持つ専門家であり、これまで現地での調査のネットワークを幅広く持ってきたため、調査の許可が取りやすかったことも原因だと考えられる。現地でもOOSCYの問題が深刻に捉えられていたため、担当省庁からの許可が取りやすく、通常は訪問しにくい場所や施設においても調査ができた経緯がある。UNESCOやUNICEFなども国境を越えたOOSCYの問題を解決するために多様なプロジェクトを切り開いてきたため、その情報燃えることができた。 また、分担者・連携研究者が国外・国外を問わず、調査結果の研究発表をあらゆる場所で行い、出版してきたことも、本研究が順調に進展している理由である。 これまでの本研究の調査結果は、日本比較教育学会(2020年7月)の課題研究でのテーマに選ばれていた。そののための打ち合わせも重ねてきたが、残念ながら、学会が中止となった。今年度は、それぞれの結果を発表することができないが、学会での課題研究は来年度に延長差されたため、さらに調査結果を整理することを心がけていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
再度、タイ、ラオス、マレーシアを調査対象国とし、ネットワーク形成を促す要因、連携によるシナジー効果の解明をさらに深める。そのために現地調査に出掛け、実際の現場を観察したい。特に3年目である本年度はOOSCYの問題を解決することに焦点を置きたいため、実際、東南アジアでどのような支援ネットワークが形成されようとしているか明らかにしていきたい。 ただし、コロナウィルスの影響により、現地での調査ができないため、ある程度、現地の調査協力者に依頼することも検討する必要があるようにも思う。それぞれの国で国内間の移動さえできない状況であるので、今後の現地の状況を注意深く観察しながら進めていく必要がある。 今後は、これまで蓄積した個別調査によって得られた知見を共同研究者全員で総括する機会を設け、研究成果を報告するため研究報告書を刊行する。本年度は報告書を刊行予定としており、来年度はそれをもとにした著書を出版したい。 また研究結果は英文でも執筆し、国際学会等や国際雑誌にて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
海外渡航が難しくなり、現地調査を進めることが困難になった。次年度、状況がよくなれば海外調査費として使用したい。
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Research Products
(17 results)