2022 Fiscal Year Research-status Report
東アジア諸国における国家資格枠組み(NQF)と高等職業教育改革の比較研究
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18K02395
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
増田 広美 (植村広美) 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (10614000)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中国 / 高等職業教育 / 専門職大学院 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度においても新型コロナウイルス感染症の蔓延から中国への入国制限が継続され、現地での資料収集すら実施することができない状況の中、これまで収集した資料、データ及びインターネットで入手した論文等に基づき、以下の考察を行った。 1年目では近年の高等職業教育制度の概要、特徴、改革動向を整理するとともに、中等職業教育との共通点や相違点を探り、2年目では大学院レベルに焦点をあて、従来の大学院との比較の観点から2009年に開設された専門職大学院にみられる特質を考察し、同時に専門職大学院への進学者の大幅な量的拡大の傾向を指摘した。3年目では量的拡大に伴って制度的構造、教育内容など質的な変化に着目したところ、従来の大学院教育とは異なる専門的知識・技能を習得した人材育成目標が掲げられ、企業と連携したインターンシップ研修をはじめ実践的な取組みが新たに導入されている点を指摘した。4年目では専門職大学院が大幅な量的拡大を遂げる一方、就職難という社会情勢も相まって全日制専門職大学院卒の就職率も高いとは言えない状況にあること等の課題を指摘した。 これらの考察をふまえ、5年目では中国国内で発表された論文のレビューを行ったところ、以下のような課題が指摘された。第一に、試験選抜制度が抱える課題として、入学試験問題が専門職大学院と研究系大学院ではほぼ同じ内容であり、同じ時期に実施されることが挙げられる。異なる基準での選抜を行わない限り、受験生にとって二つの大学院の相違点がはっきりしない。第二に、中国の労働市場では専門職学位と学術学位との明確な区別がなく、職業資格と連動していない場合も多いため、専門職学位の特色が十分に発揮されていない点が挙げられる。これにより、専門職大学院における専攻分野と卒業後の進路があまり関連をもたないという事態が引き起こされ、就職率も高いとはいえない事態に陥っている可能性が指摘される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍において主なフィールドとなる中国での現地調査ができないため、研究を進めることが難しい状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究も日本と中国に焦点をあてた考察になるため、入国制限の解除を待ち、中国での調査研究の実施に備えたい。
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Causes of Carryover |
R4年度においても新型コロナウイルス感染症の蔓延から、中国での調査研究を実施できなかった。今後、入国制限が解除されてから、現地での調査研究を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)