2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K02396
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Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
末藤 美津子 東洋学園大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (10460304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 桂 都留文科大学, 文学部, 特任講師 (60754546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カリフォルニア / 多言語教育 / バイリンガル教育 / 日本語教育 / 教員資格 / 教員養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
多言語教育の取り組みが政策として推進されるようになったカリフォルニア州の現状と課題を総合的に検討することができた。 研究代表者は、公立学校でバイリンガル教育を推進していく上で最も深刻な課題と指摘されている、バイリンガル教員不足の問題に着目し、カリフォルニア州における教員資格ならびに教員養成プログラムの視点から総合的に分析していくことを試みた。カリフォルニア州のバイリンガル教員の資格とその養成課程はたびたびの制度改革を経て、複雑でわかりづらいものとなっているので、そのおおまかな流れを整理することから着手し、現在のバイリンガル教員の資格と養成課程の概要を明らかにすることができた。 さらに研究代表者は、現在のカリフォルニア州におけるバイリンガル教員の資格要件に着目し、その資格試験を構成している「カリフォルニアの英語学習者のための教員(California Teachers of English Learners: CTEL)」試験と「カリフォルニアの教員のための教科試験(California Subject Examinations for Teachers: CSET)」の二つについて、その概要を明らかにした。CSETについては、数ある言語プログラムの中から日本語プログラムを取り上げた。 研究分担者は、カリフォルニア州のサンフランシスコで現地調査を実施し、サンフランシスコ統合学校区における多言語教育プログラムを調査した。具体的には、2019年1月から2月にかけて日本語教育プログラムを実践しているローザ・パークス小学校とクラレンドン小学校を訪問した。インタビューや授業観察を通して、多言語教育プログラムの実情とその課題を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者も研究分担者も、カリフォルニア多言語教育法の意義と課題について、それぞれの手法で研究を進めることができたからである。 研究代表者は、カリフォルニア州の教員資格ならびに教員養成の制度の中での、バイリンガル教員の資格や養成について、資料に基づき詳細に分析することができた。次に、その成果を踏まえて、バイリンガル教員の資格要件を取り上げ、資料に基づきバイリンガル教員に求められる資質・能力を明らかにすることができたからである。 研究分担者は、カリフォルニア州への現地調査を実施することができた。バイリンガル教育プログラムを実践している学校とコンタクトをとることができ、いくつかの学校を訪問し、インタビューや授業観察を通して、現状の把握と今後の課題を明らかにすることができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、カリフォルニア州のバイリンガル教員に求められる資質・能力を明らかにすることができたので、そうした資質・能力をもつバイリンガル教員をどのように養成していくことができるのか、カリフォルニア州におけるバイリンガル教員の養成課程の実情を明らかにしていきたい。そして、カリフォルニア州におけるバイリンガル教員不足の解決に向けて、どのようなことが可能なのかを探っていきたい。さらに、そこから、日本に目を転じ、日本語教育を必要とする児童生徒を少なからず抱えている日本の学校教育のあり方を考えていく上での、有益な示唆を引き出したいと考えている。 研究分担者は、カリフォルニア州への現地調査が可能であれば、再度、現地調査を実施したいと考えている。だが、昨今の事情から現地調査の実施が難しければ、これまでの研究成果を踏まえた形で、カリフォルニア多言語教育法の意義と課題について検討を深めていくつもりである。なお、最終的には、研究代表者と同様に、日本への示唆を引き出すことも考えている。
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Causes of Carryover |
研究は順調に推移している。次年度において、研究分担者は可能であればサンフランシスコへの現地調査を計画しているので、そのための費用として使いたい。また、次年度は科研費の最終年度でもあるので、3年間の成果を学会で発表したり、成果をまとめた報告書を作成する予定なので、そのための費用としても使いたい。可能であれば、研究成果をまとめる上で必要なノートパソコンなどのパソコン機器も充実させたい。
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Research Products
(6 results)