2018 Fiscal Year Research-status Report
Effect of Gender on the Relation between Social Capital and School Outcome: The Case Study of Kenya
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18K02398
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
笹岡 幹子 (西村幹子) 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20432552)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学校運営 / コミュニティ / ジェンダー / ケニア / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主流の教育制度や政策のあり方が異なる集団に対していかに公正であるかという視点から教育のあり方を問う「持続可能な開発」国際目標に照らして、質的経験としてのジェンダー平等を学術的に捉え直すことを目的としている。具体的には、アフリカ社会において、親やコミュニティが学校と「関わる」際の学校運営関係者の認識、参加の形態、過程においてジェンダーはどのような影響を及ぼしているか、そして学校運営のあり方がどのように学習成果や継続的学習におけるジェンダー格差と関連しているのか(いないのか)というリサーチクエスチョンを立てている。平成30年度は、対象10校の既存のデータを見直し、現地の連携研究者とともに学校運営の形態、意思決定の過程、具体的な教育活動や教育評価の方法についてインタビュー・プロトコールおよび質問紙を作成した。また、親の学校運営および子供の学習への関わり方とジェンダーに関するサーベイを400人余りの親を対象に実施した。 サーベイ調査の結果、母親の教育レベルが子どもの成績の把握については正の影響を持っているものの、参加の方法や程度については逆に負の影響を持っている場合があることが分かった。近年住民参加型学校運営との関連が注目される社会関係資本と学校教育の成果との関わりにおけるジェンダーの影響は、先行研究で示唆されているような直線的な関係でなく、より複雑な構造を持っていることが示唆される。親が学校参加によって得た情報をどのように解釈し、参加することに繋がっているのか、また、逆に参加しないという選択肢に繋がっている可能性もある。第二年次には、学校への参加とジェンダーダイナミックスのプロセスを丁寧い追うことで、サーベイ調査の結果に関する理解を深める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定通り、現地の連携研究者とともにインタビュー・プロトコルおよび質問紙の作成とパイロットテストを実施した。当初の予定以外にも、親を対象にした調査を実施し、学校運営における情報共有のあり方が、親の子どもの学習への認識や学校の参加の度合いにどのような影響を与えているのか、また、そこにおけるジェンダーの影響を分析した。
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Strategy for Future Research Activity |
パイロット調査の結果を受けて見直したインタビュー・プロトコルに基づき、10校において本格調査を実施する。校長および学校運営委員長へのインタビュー、質問紙調査、学校のアーカイブ資料等のドキュメント調査を行う。
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Causes of Carryover |
個人的な理由により現地調査の日数が短くなったことにより余剰が発生した。平成31年度はより現地に長く滞在することとし、連携研究者にも追加の情報収集などを依頼する予定である。
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