2019 Fiscal Year Research-status Report
Effect of Gender on the Relation between Social Capital and School Outcome: The Case Study of Kenya
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18K02398
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
笹岡 幹子 (西村幹子) 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20432552)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学校運営 / コミュニティ / ジェンダー / ケニア / 初等教育 / マサイ族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主流の教育制度や政策のあり方が異なる集団に対していかに公正であるかという視点から教育のあり方を問う「持続可能な開発」国際目標に照らし て、質的経験としてのジェンダー平等を学術的に捉え直すことを目的としている。具体的には、アフリカ社会において、親やコミュニティが学校と「関わる」際 の学校運営関係者の認識、参加の形態、過程においてジェンダーはどのような影響を及ぼしているか、そして学校運営のあり方がどのように学習成果や継続的学 習におけるジェンダー格差と関連しているのか(いないのか)というリサーチクエスチョンを立てている。 令和元年度は、8校において、学校内における全教師と生徒のジェンダー観や役割分担をサーベイによって調査した。また、対象校の地域に住む464人の親を対象にジェンダー観や親の学校参加や子供の学習活動への参加の度合いについてサーベイ調査を行った。さらに、校長に対する半構造化個人インタビューおよび学校運営委員会のメンバーに対するフォーカスグループインタビューを行った。 その結果、ジェンダー観については、近年のジェンダー平等政策や遊牧民の生活形態の変化により、特に性別の知性の平等性を支持する割合が、親、教師、生徒のすべてにおいて大多数を占め、学校内における性別役割分業についても顕著な差はなかった。他方、性別役割分業は家庭内の仕事において明確にされており、男児は家畜の世話や放牧、農作業、女児は炊事、洗濯、兄弟姉妹の世話、薪拾い、水汲み等の多くの仕事を担っているため、学業に影響が出ている。親の学校参加に関する意思決定については、学校への財政的貢献についての意思決定は父親に任されることが一般的であるため、就学、財政、進学等の最終的な意思決定にジェンダー力学が働くことで、学校運営が難しい側面が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定通り、現地の連携研究者とともにインタビュー・プロトコルおよび質問紙の作成し、8校において教師と小学6年生を対象にしたサーベイ調査と校長および学校運営委員会のメンバーに対するインタビュー調査を複合的に用いた混合調査を実施した。また、468名の親を対象にしたサーベイ調査を実施し、親の子どもの学習への認識や学校の参加の度合いにジェンダーがどのように作用しているのか、また、そこにおける ジェンダーの影響を分析した。
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Strategy for Future Research Activity |
本格調査において取得したデータを詳細に分析し、研究発表に力を入れる。連携研究者を招聘し、国内でセミナーを開催することを企画しているが、新型コロナウィルスの影響で難しい可能性があるため、その場合には、ケニア国内で実施するか、オンラインでの開催も検討する。
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Causes of Carryover |
個人的な理由により現地調査の日数が短くなったことにより余剰が発生した。令和2年度はケニアの研究協力者の招聘を予定しているが、新型コロナウィルスの感染拡大の関係で難しければ、セミナーをケニアで開催する、あるいはオンラインで開催し、後日申請者が研究成果を現地に共有するために出張する等、予定を変更する可能性を検討する。また、2021年3月に予定されているアメリカにおける国際学会での発表を検討する。
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