2021 Fiscal Year Research-status Report
A Historical Study on the Forming Process of Aboriginal Self-Governing System Over Education in Contemporary Canada
Project/Area Number |
18K02404
|
Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart University |
Principal Investigator |
広瀬 健一郎 鹿児島純心女子大学, 人間教育学部, 教授 (80352491)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 先住民族 / 教育自治権 / 先住民族の権利 / 先住民族教育史 / カナダ地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに資料収集、分析、執筆をすすめていたブリティッシュ・コロンビア州政府の教育政策について、「ブリティッシュ・コロンビア州における先住民族教育政策の制度的枠組みの形成過程 : 先住民族関係改善和解省の設置と教育政策の展開」と題する論文にまとめ、『カナダ教育研究』第19号にて発表した。 当初計画していた1970年代~90年までの先住民族教育政策についての調査は、COVID-19によりカナダでの現地調査が困難であったことから、ほとんど進めることができなかった。この年代の教育政策を検討するためにはインターネットから得られる情報では限界がある。とりわけ、公文書等の一次資料を得るためには、現地調査が不可欠である。その結果、この時期の先住民族教育政策に関する先行研究の調査や収集、先行研究に対する批判的検討などを行うに留まった。 一方、先住民族政策の通史を描く上でキーパーソンとなる先住民族のリーダーに関する調査を行った。本年はフランク・コールダー(Frank Calder)、ハロルド・カーディナル(Harold Cardinal)、ジョージ・エラスムス(George Erasmus)の3名を取り上げ、伝記的記事をまとめた。 この他、アイヌ民族の先住民権復権に向けた示唆を得ることを目的として、カナダの先住民権回復の歴史を検討し、先住民権回復の論理と手段を考察した。ここでは先住民族の漁業権に焦点をあて、先住民族漁業権はサケ等の種の保存を前提に保障されるものであることや「民族の文化と存在」を維持する権利であることを見出した。 また、社会教育分野における先住民族の教育権回復の動向にも目を向け、1990年代以降、博物館等の社会教育施設による先住民族遺骨や聖遺物の返還の取り組みの展開過程を後付けるとともに、わが国のアイヌ人骨返還の動向との比較考察を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVIDー19の蔓延により、緊急事態宣言に伴う研究活動の制約やカナダ国内への入国制限等から、2020年4月以降、現地調査をおこなうことができない。本研究を遂行するためには公文書等の第一次資料の収集、分析が不可欠である。このため、基本的な一次資料の調査すらできておらず、研究は大幅に遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、COVID-19の感染状況に注意しながら、ぜひとも現地調査を行いたい。また、2020年度より2年間、現地調査ができていないので、本年を含めて2年の研究期間の延長を希望する。
|
Causes of Carryover |
COVID-19による感染拡大のため、カナダにおける現地調査が実施できなかったことによる。2020年より2年間、まったく現地調査ができなかったことから、本年を含め、2年間の研究期間の延長が必要である。今年度は、感染状況に注意を払いながら、ぜひとも現地調査を行いたい。また、現地調査が困難な場合は、インターネット等にて収集できる資料を集めるとともに、先行研究の批判的検討などを進めることとする。また、インタビュー調査等についてはオンラインでの調査も可能であることから、ICT機器を駆使した調査方法を検討する。
|
Research Products
(5 results)